いなほがつくるお庭の特徴と好きな植物

2021/10/07 | お家のこと TOPICS

弊社が「緑の街づくり」を意識し始めたのは、2016年の神戸市北区上津台四丁目百年集落街区「里山住宅博㏌KOBE」がきっかけです。

里山付の住宅、共通のデザインコードを持った街区、その土地の在来種を使うなど、工務店が多数あつまって、前代未聞の取り組みがいっぱいの期間限定モデルハウスの展示にチャレンジしたことです。

その後、尼崎市の中でも比較的緑の多い地域である田能3丁目に『里山のある町角』という街並みを施工する際、お庭や外構に気を配ることで、緑に馴染む風景をつくる。というビジョンを大切に取り組み街並みが完成しました。
街並みの在り方を大切にしたことでお施主さん同士の交流も生まれ、素敵な一角になっています。


田能三丁目『里山のある街角』完成直後の様子

今回は、これまで弊社が施工してきた外構やお庭で、大切にしてきたこととお勧めの植物をお伝えします。

1. 風景をつくる bio houseの考え方  

弊社が考える風景をつくるとは?どういうことか。

以前に、bio houseの冊子でまとめた内容が下記です。

『ブロック塀やフェンスは入りません。奇妙なデザインも必要ありません。大地の一部を借りて住んでいるのだという、謙虚な気持ちを忘れたくないものです。一軒の家に何ができる、と考えないで、一軒の家が風景をつくる、と考えたいものです。』(bio houseより引用)

ロンドン郊外にあるレッチワースでは、家と家の間の中心線に生垣を植えて境界を分けています。
日本でも、生垣は気候や日本人の性格に合ったメリットと魅力があるため、古くから利用され親しまれてきました。
生垣は植物でできているため、人工的なブロック塀やフェンスよりも圧迫感がなく優しい存在です。

弊社が施工した田能3丁目でもこれを基に、レンガ1枚を横に並べて土地の境界とし、お隣の木々を住まいに取り込む借景を活かして、互いが緑を生かし合うことを心掛けました。
人工物ではなく緑が風景の大部分を占めることで、住まいは潤いを得られ豊かになります。

2. なるべく、コンクリートを打たない

お庭には、なるべく人工的なコンクリートを打ちたくないと考えています。

理由は、
・照り返しが厳しく夏場つらくなる
・ガーデニングができにくくなる
・ひび割れを起こしやすい
・撤去に費用がかかる
という点です。

夏場、コンクリートで覆われた地面は、真夏の日射で表面温度が60℃近くまで上がることも珍しくありません。
この温度は、犬を飼っているお家の場合、愛犬が昼間誤って庭に出てしまうと肉球に簡単に火傷を負ってしまう危険があるほどの高温です。

その上、デザインにもよりますが、庭全体にコンクリートを打ってしまうと、ガーデニングがやりにくく、空いたスペースで行うにしても生育が悪くなる傾向もあり、グリーンが少ない庭は涼しげな雰囲気が感じられません。

そして、コンクリートを打つ理由として、耐久性に優れメンテナンス不要と言われることが多々ありますが、コンクリートにはひび割れを起こしやすいというデメリットがあります。
ひび割れだけでなく、方角によってはカビやコケも生えやすく、経年劣化によりあちこちに黒っぽい汚れがみられようにもなっていきます。
このような経年変化が目立ちやすいのも、コンクリートの特徴の1つである上、一度コンクリートを打ってしまうと、変更したいと思ったとき想像以上の撤去費用が必要となります。

そのため弊社では、見た目にも涼しく、臨機応変に対応が可能な方法『駐車場には平板を並べたり』『割栗石を敷いたり』したうえで、緑を楽しめる外構にすることをお勧めしております。

3.四季や自然を感じる植物選び

1:一年をとおして四季を感じる

1年中緑を保つ常緑樹はあまり手間がかからないですが、変化がそんなにないですよね。
もし四季折々の景観を楽しみたいなら、秋冬になると葉が落ちる落葉樹をお勧めします。

その理由として、落葉樹をお庭に植えると季節ごとに違う姿を楽しめるからです。
春に新葉が出て、夏には濃緑の葉が生い茂り、秋には紅葉したり実をつけたりし、冬に葉を落とすというサイクルを楽しめます。
冬の葉が落ちたあとの姿も、枝ぶりに風情を感じることができますね。

2:陽を入れる、日陰をつくる

シンボルツリーや高木に落葉樹をお勧めする理由の1つとして、日本のように四季がある国では、室内に入る太陽光を季節に合わせコントロールする必要があるからです。

落葉樹なら、葉生い茂る夏は日光が直接室内に入るのを防ぎ涼しくなり、葉が落ちる冬は日光を室内に取り込むことが可能です。

近年よく目にするようになった「緑のカーテン」も、日射のコントロールを目的とされています。

例えば、一年草のつる性植物の1つであるヘチマを窓越しに育て、夏の季節に上手く日陰をつくる。
ヘチマの開花時期は6月~8月で収穫時期が7月~9月ですが、まさに夏の時期に必要となる「緑のカーテン」に最適な植物というわけです。

ヘチマ料理はあまり有名ではありませんが、淡白なお味なので硬い皮をしっかり剥けば、色々な料理に活用もできる上、「むくみや高血圧予防」「肥満防止やアンチエイジング」「腸の調子を整えて便秘解消」「貧血予防」などの栄養効果を持っています。

「緑のカーテン」は見た目に涼しいだけではなく、日射しを遮ってくれるうえ、ゴーヤやヘチマのように実の成るつる性植物を採用すれば栄養豊富なお野菜が育ってくれる等良いことづくめです。

先にご紹介しました「田能三丁目里山のある街角」では、緑のカーテンを簡単に育てられるような工夫も行いましたよ。

3:全体のバランスを考え、上手く取り入れる

お庭の好みは人それぞれですし、土地や環境によって、条件は変わりますが、全体的に調和の取れたお庭であることが大切です。

たとえば、シンボルツリー(樹高2m前後)と一緒に低木(樹高0.2~0.6m)を組み合わせることで、高低差をつけると、まとまり感のあるお庭づくりができます。

また、樹木だけでなく下草やグランドカバーなど、葉の形や色など特徴がある植物を加えることでより彩りがでます。

以前、樹木について常緑樹と落葉樹の2種類があるとお伝えしましたが、下草やグランドカバーにも、常緑と落葉、宿根草などの種類があります。
植え込み場所が日陰や半日陰、一日中日向なのかで、育ちやすい植物も変わってきます。
多種多様な植物を組み合わせて、一年を通して見栄えがよく、それでいて四季を感じるような美しい空間を楽しむために、ぜひバランスよく植物を取り入れてくださいね。

4.おススメの下草・グランドカバー

1:リピア(姫イワダレソウ)

学名 Phyla nodiflora var. minor(Phyla nodiflora var.canescens、Phyla canescens)
科名 クマツヅラ科 / 属名 イワダレソウ属

グランドカバーとして植えられる事が多く、横にどんどん広がっていきます。
とても強い植物で、耐踏圧性があるので踏まれても大丈夫です。
6月頃に1センチ〜1.5センチの小さな可愛い花が沢山咲きます。
弊社でも芝生のかわりに植えましたが半年程でお庭に広がり、ナチュラル感が出ました。

2:ディコンドラ(ダイコンドラ)

学名 Dichondra
科名 ヒルガオ科 / 属名ダイコンドラ属(アオイゴケ属)

ディコンドラは、這うように伸びる長い茎に葉が密につくことから、雑草が生えやすくなってしまう地面に、雑草対策のグランドカバーとして人気があります。
美しい緑がふんわりと茂るナチュラルなお庭は素敵ですよね。
冬に、葉が傷みますが、株が枯れることはなく、毎年春からまた見ごろを迎えます。

3:テイカカズラ


《キャビオン門柱のテイカカズラ》

学名 Trachelospermum asiaticum
科名 キョウチクトウ科 / 属名 テイカカズラ属

茎から出る付着根が、壁や木に食い込んで上へとよじ登るような習性を持っているため、フェンスなどに絡ませたり、緑のカーテンにもできます。
里山住宅博㏌KOBEや弊社の田能3丁目の「里山のある町角」で活用した、プレーンメッシュで構成されたキャビオン門柱でもテイカカズラを這わせています。

4:ヤブラン

学名 Liriope muscari(L.platyphylla)
科名 キジカクシ科(クサスギカズラ科)/ 属名 ヤブラン属(リリオペ属)

丈夫で手のかからない植物です。
ほぼ一年中同じ草姿を保ち、性質が強いのでお勧めの草花です。

病害虫の被害もほとんど見られず、土質もあまり選びません。
8月~10月に紫色の花が先から密に咲きます。
冬に葉の入れ替わりがありますが、春にまた新しい新芽が出てきます。
葉っぱに黄色の斑入りが入る、フイリヤブランは、お庭の足元をカジュアルに演出します。

5:ツルニチニチソウ(ビンカマジョール)

学名 Vinca
科名 キョウチクトウ科 / 属名 ツルニチニチソウ属(ビンカ属)

つるの伸びがはやく茎が地表を這い、節から根を下ろして広がります。
玄関まわりやポストの横、シンボルツリーの足元などにも適していると思います。
花は春から初夏にかけて、立ち上がる茎の葉腋に青や白色の花を咲かせます。
葉に白い斑の入る品種は爽やかな印象になります。

5.おススメの低木

1:マホニアコンフーサ

学名 Mahonia confusa
科名 メギ科 / 属名 マホニア属

お庭に植えられる事が多い常緑の低木の中でも、和風洋風を問わず、どんな場所にでも馴染んでくれるのが、マホニアコンフューサです。
細長いスタイリッシュな葉をもつマホニアコンフューサは、葉の形が違う他の植物とのバランスも楽しめ、お庭のアクセントにもなります。
花期時期は10~12月で黄色い花を咲かせます。5~6月頃にブルーベリーに似た実を付けます。

2:アジサイ


《カシワバアジサイ》

学名 Hydrangea macrophylla
科名 アジサイ科 / 属名 アジサイ属

代表的な花木のアジサイは、世界で広く親しまれている日本産の落葉の低木です。

丈夫で育てやすく、乾燥しないように気をつければ、梅雨どきに毎年花を楽しめるのが魅力で、和風の庭にも洋風の庭にもマッチします。

弊社のお勧めするアジサイの仲間は、カシワの葉のような形の大きな葉とピラミッド形に咲く花が特徴的な「カシワバアジサイ」です。花も美しいですが、秋の紅葉もとても美しいです。
また「アジサイ アナベル」は、初夏に20~30cmの大きな花が開花します。
切り花として室内に飾ってもドライフラワーにも適しています。


《アジサイ アナベル》

3:ウエストリンギア

学名 Westringia
科名 シソ科 / 属名 ウエストリンギア属

ウエストリンギアはオーストラリアが原産の常緑の低木で、木立性のローズマリーに良く似た形状や小花を咲かせます。
日当たりさえ良ければ、真夏と真冬以外は一年中花が楽しめる四季咲きです。
特に春から初夏は花数も多く、観賞を楽しめます。
違いは、ウエストリンギアは触れても香りがしません。成長が早く丈夫な性質で、害虫もあまりないようです。

4:アベリア

学名 Abelia × grandiflora
科名 スイカズラ科 / 属名 ツクバネウツギ属

アベリアは、コンパクトで好みの大きさに剪定することができるうえに、花が長く咲きます。
1年をとおして、葉色が美しく観賞価値の高いおすすめの常緑低木の花木です。
また、成長が早くないので管理もしやすいです。

アベリアの品種の中でも、「アベリアホープレイズ」は、白い花と濃い緑と黄色の葉とのコントコントラストがとても美しいです。


《アベリアホープレイズ》

6.おススメの高木

1:ヤマボウシ

学名:Cornus kousa(Benthamidia japonica)
科名 ミズキ科 / 属名 サンシュユ属(ヤマボウシ属)

ヤマボウシは、初夏6月~7月頃に花を咲かせ、夏には瑞々しい濃いグリーンの葉、秋には鮮やかな紅葉、一年を通して楽しめる理想的な庭木です。
株立ちの樹形がとても美しく、葉が落ちた冬の落葉の時期でも趣きを感じられます。

四季をとおして、変化のあるヤマボウシは、シンボルツリーにもお勧めです。
弊社でも、ご提案させていただくことが多いですね。

2:イロハモミジ

学名:Acer palmatum
科名 ムクロジ科 / 属名 カエデ属

イロハモミジは皆さんご存じの通り、紅葉する代表樹と言っても過言ではないかと思います。
古くから日本に自生してきた樹木なだけに、放置していてもよく育つのが特徴です。

春に新芽を出し淡いグリーンのみずみずしい姿を秋ごろまで楽しんだ後、秋には燃えるような紅葉が楽しめることから特に人気のシンボルツリーです。

3:ジューンベリー

学名:Amelanchier
科名 バラ科 / 属名 ザイフリボク属

四季を感じられる庭木といえば、最近、ガーデニングでも人気のジューンベリーです。
春に白い花が満開になる姿は見応えがあり、6月になると真っ赤な実がなります。
実を摘み取って、そのまま口に入れてパックと食べても甘くて美味しいです。
秋には紅葉し、冬に落葉しますが、和風にも洋風のお庭にも比較的に馴染みやすく、育てやすい高木樹です。


《ジューンベリーの実》


《ジューンベリーの花》

4:アオダモ

学名 Fraxinus lanuginosa
科名 モクセイ科 / 属名 トネリコ属

昔から日本人に親しまれてきた、日本の山地に自生する在来種です。

北海道から九州まで自生してきた雑木のため、暑さや寒さに非常に強い性質を持っています。
環境に馴染みやすく、初心者にも育てやすく手入れに手間がかからないのが特徴です。
4~5月にはピュアホワイトまたは、アイボリー色のとても小さな花を多数咲かせます。
1つ1つはとても小さいのですが、木を覆うように咲き誇るため満開時には雪をまとったような美しさが楽しめますよ。

7.まとめ

温かな暮らし・家族をイメージしたとき、人それぞれに思い浮かべる景色は違うと思います。
ただ、家を建てようと考え、どんな家が良いかなと想像した時。その景色の中には家と共に庭やガレージあり、緑が存在している方が弊社のお客様には多くいらっしゃいます。

どんな暮らしがしたいですか?とお聞きした際、「縁側で家族がお茶を楽しんでいる側で、飼い猫がくつろいでいて、みんなで庭を見ながら笑っているような暮らし方」という、ぼんやりとしたような具体的なような、でも笑顔が溢れる暮らしのイメージがしっかりと伝わるお答えくださったお施主さんもいらっしゃいました。

暮らしを彩るお庭は、家族・自然・動物・植物を含め「心のつながり」を感じられる、安心できて心地いい空間になるのが良いと弊社では考えています。

もちろん、緑あふれる暮らしがライフスタイルに合わない、日々の生活が忙しくあまり手入れをする時間が取れないという方も多くいらっしゃいます。
人の暮らし方は様々だからこそ、ライフスタイルにあった無理のない植栽選びがとても大切です。

自分たち家族のライフスタイル、理想の暮らしはどんなものかな?と考える際には、ぜひ窓から見える外の風景は、どんな景色が広がっているか想像してみてください。
外に開いた景色が思い浮かんだら、暮らしをより心地よく豊かにするために、植栽選びや借景をつくるための心配りを大切にしてくださいね。

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