ご存じですか?耐風等級

2021/10/16 | 家づくりのこと TOPICS

家づくりを考える際に重要視される点に、耐震等級があるかと思います。
どんなに素敵な家でも、安全面がおろそかになっていては意味がありませんし、素敵な家だとも言えません。
家の安全性を表す「耐震等級」と共に、「耐風等級」というものがあるのはご存じでしょうか?

日本は地震大国であると共に、台風大国でもあります。
住宅などの建造物に影響を及ぼすほど大きな地震は数十年に1回起きる可能性が示唆されていますが、台風は毎年訪れます。
その回数も、1年に1度なわけではなく数回訪れ、その度に大なり小なりの被害を去っていきます。
そんな台風に対する対策、「風」の力に対する「耐風等級」について、今回はお伝えさせていただきます。

風の強さと、建物が受ける負荷について

台風が接近してくると、ニュース番組などでは、雨の量と共に風の強さも報道されてます。
時には、人が風で煽られ転倒している場面や、看板が飛ばされ、トラックが横転している映像などを見かけます。
台風という単語の中に、「風」が含まれている通り、台風は「風」の被害が多く、風速40m以上になると住宅で倒壊するものがあり、鉄骨建造物でも変形するものがあると言われています。

【平均風速10m/s以上15m/s未満】
(やや強い風)
風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。樹木全体が揺れ始める。電線が揺れ始める。樋(とい)が揺れ始める。
【平均風速15m/s以上20m/s未満】
(強い風)
風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。高所での作業は極めて危険。電線が鳴り始める。看板やトタン板が外れ始める。高速運転中の車では、横風に流される感覚が大きくなる。屋根瓦・葺材がはがれるものがある。雨戸やシャッターが揺れる。
【平均風速20m/s以上】
(非常に強い風)
何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある。細い木の幹が折れ、根の張っていない木が倒れ始める。看板が落下・飛散する。道路標識が傾く。車は通常の速度で運転するのが困難になる。屋根瓦・葺材が飛散するものがある。
【平均風速30m/s以上】
(猛烈な風)
屋外での行動は極めて危険。走行中のトラックが横転する。
【平均風速35m/s以上】
(猛烈な風)
多くの樹木が倒れる。電柱や街灯で倒れるものがある。ブロック塀で倒壊するものがある。建物の外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出するものがある。
【平均風速40m/s以上】
(猛烈な風)
住家で倒壊するものがある。鉄骨構造物で変形するものがある。

※ウェザーニュースよりお借りしました。

風速40mを超えるとなぜ建物の倒壊が発生しだすのか。

理由は、土地や建物の形状や状態によっても異なりますが、風速40mを超える風が吹いた場合、約7トンの加重が建物の側面にかかっていることになるからです。
7トンというと、非常に大きな象(地上最大の生物アフリカゾウのオス)や、荷物を積んだ中型のトラック以上となります。
風が吹いている間中、上記例のようにとても大きな力が家全体にかかり、私たちが知らないうちに、建物は大きなダメージ受けているのです。
そのため、地震はもちろん、台風にも耐えられる家づくりが重要となるのです。

耐風等級とは?

耐風等級は「等級1」と「等級2」に分かれており、耐震等級と同じく1より2の方がより高強度となります。

ただし、等級1であっても伊勢湾台風(日本に上陸した台風で最も多くの被害を出した台風)並みの風に耐えられる力が基準となっています。
台風などの低気圧による暴風は地域差も大きく、建築基準法の改正により、地域ごとに50年間の平均風速を求め、その風速に係数をかけることで対応すべき風の力が決められています。

耐震等級1とは?

「極めて稀」に発生する暴風による力に対して、倒壊、崩壊などせず「稀」に発生する暴風による力に対して、損傷を生じない程度。とされています。

耐震等級2とは?

「極めて稀」に発生する暴風による力の1.2倍の力に対して、倒壊、崩壊などせず、
「稀」に発生する暴風による力の1.2倍に対して損傷を生じない程度。とされています。

稀や極めて稀ってどういうこと?

稀は50年に一度発生する暴風、極めて稀とは500年に一度発生する暴風のことを言います。
高さ10mの位置で平均風速が秒速35m、瞬間最大風速が約50mに相当し、等級2は、その暴風の1.2倍、秒速42m、瞬間最大風速60mの風力に相当します。

ちなみに、関西空港が水浸しになったことでも記憶に新しい2018年の台風21号の瞬間最大風速は下記のとおりで、

・瞬間最大風速 58.1m : 関空島 (大阪府、13時38分)
・瞬間最大風速 57.4m: 和歌山 (和歌山県、13時19分)
・瞬間最大風速 55.3m: 室戸岬 (高知県、11時53分)


毎日新聞WEBよりお借りしました

耐風等級2が必要だと考えさせられる数字が並んでいます。

そしてこの翌年、2019年台風19号が日本列島を襲い、2018年の台風21号と同規模、またはそれ以上の規模の暴風雨と被害が予想されると関西でも報道され鉄道各社が計画運休を行いました。
台風19号は関西ではなく関東へ上陸したことで、ゴルフ練習場のネットを支える高さ約30メートルの鉄柱13本が約110メートルにわたって倒壊した映像を覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。


毎日新聞WEBよりお借りしました

このように、「稀」や「極めて稀」とは言ってられなくなった、風による被害。
安全のために、耐震と共にしっかり考え備えるべき時が来ていると感じています。

耐震等級を満たせば大丈夫じゃないの?

耐風等級というと、「家を強く」という印象をいだかれるのか「耐震等級3なら風にも耐えられる」と考えられているお客様もいらっしゃいます。
もちろん、「耐震等級」がゼロの建物よりも、耐震等級3の建物の方が風に対しても強くなりますが、耐震等級3だからと言って、耐風等級2が満たせているとは限らないのです。

これは、耐震等級の時にもお伝えした弊社がとても大切にしている許容応力度計算が関わっています。
しっかりと許容応力度計算を行う事で、耐風等級も明確に判断することが可能となり、耐震等級3で耐風等級2を満たすことができますが、行っていない場合一概には言えないという事になってしまうのです。

耐風等級だけではない、「風」に対する大事な備え

耐風等級2はとても安心ですが、強風に対する備えはそれだけではありません。
ニュースなどでも報じられている通り、風が起こす被害は屋根が飛んだり、ガラスが割れたり、外壁の一部が剥がれ落ちたりという、住宅の躯体ではない部分であることが多々あります。

ガラスが割れるのは、現在の住宅ではそもそも耐風強度の基準をクリアしているものを使用しているため、風圧で割れるという事はめったになく、ものが飛んできて当たって割れるという場合がほとんどで、対策は雨戸やシャッターを設けることになります。

しかし、屋根が飛んだり外壁が剥がれ落ちたりするのは施工不良または、メンテナンス不足が理由だと言われています。

最近の台風の強さを考えると、施工不良・メンテナンス不足だけが理由だとは言い切れなくなっているとは思います(想定を上回る暴風や暴風の通り道だった場合想定以上の被害が出る)。

いくら計算が正しくとも、丁寧な仕事なくしては「安全で安心できる家」にはなりえない。
許容応力度計算と共に、現場の職人がいかにプライドを持って仕事をしているかどうかという事が、何よりも大切だと実感するのです。

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