新築時「雨戸」や「シャッタ-」は設置するべきか否か

2021/06/09 | お家のこと

住宅街を歩いていると、雨戸やシャッターのある家が少なくなったことに気が付きませんか?
昔の戸建て住宅には当たり前のようについていた雨戸やシャッター。
なぜ減ったのか、本当に設置しなくても大丈夫なのかなど、今回のコラムでは「雨戸」と「シャッター」についてお伝えしたいと思います。

そもそも雨戸やシャッターってなんのために設置するの?

近年、雨戸やシャッターは、防犯のために設置する傾向が強まっています。

しかし、戸建て住宅に雨戸やシャッターを設置する本来の目的は、雨や風の侵入を防ぐためでした。
ガラスが普及する前の日本家屋は、障子の外側に木製の雨戸を閉めることで、雨や風の室内への侵入を防いでいたのです。
ガラスが普及した後も、気密性の低い木製サッシを使っている戸建て住宅が多く、大雨や台風の際に、雨風の侵入を防ぐための雨戸が欠かせませんでした。

木製のサッシというとかなり昔のような気がしませんか?
確かに昭和40年代半ばには、アルミサッシの全国普及率はほぼ100%に至りました。
このことからも、かなり以前から雨戸・シャッターの本来の目的である「室内に雨・風を入れない」という理由からは離れていることが分かります。

サッシの性能が格段に向上し、雨風の侵入を心配する必要のなくなった現代、何のために雨戸やシャッターを設置するのかというと・・・
多くの方が、設置理由として「台風や風が強い日に万が一窓ガラスが割れてしまわないよう守るため」「防犯上の理由」を挙げられています。
という事は・・・気にしない人は雨戸やシャッターを設置しなくても構いませんし、他の策を講じることも可能です。
以上のことから、雨戸やシャッターは「絶対に設置しなくては生活に支障が出る」という戸建て住宅に必須の設備から、「設置しても、しなくても個人の自由」な選択可能な設備になったのです。

これから家を建てるなら雨戸やシャッターはどうするべき?

先にも書いた通り、雨戸やシャッターはすでに戸建て住宅の必需品ではありません。
ではどんな場合はあったほうが良いのか、どんな暮らし方なら設置をお勧めするのかお伝えしますね。

1:防犯対策

最近では大半の方が防犯対策を目的に雨戸やシャッターを設置しています。
理由は簡単で、雨戸やシャッターは“窓よりも割れない”という点にあります。
特に、雨戸やシャッターを開け閉めしたことがある方ならよく分かると思いますが、雨戸やシャッターは動かすたびにかなり大きな音が鳴ります。
何も対策されていない窓ならものの数秒で開けられますが、雨戸やシャッターはそうはいきません。
雨戸やシャッターをこじ開けようとすれば専用の道具が必要ですし、時間がかかるうえ、揺らすだけでも音が響きます。
容易には開けることができない雨戸やシャッターが閉まっている戸建て住宅は、それだけで空き巣が嫌がる家になり、空き巣被害を未然に防ぐことができます。

共働き家庭などで日中は誰も家にいないお家や、旅行などを趣味とされ長期間家を空けることが多い方にはとてもメリットのある設備です。

2:遮音性能に優れている

雨戸やシャッターを閉めると、ガラスと合わせ最低でも2重構造になります。
そのため、雨戸やシャッターには外の音を軽減させてくれる効果があります。
弊社のモデルハウスがある、大阪空港の近くや幹線道路や線路沿い等、周囲の音が時間に限らず気になる地域では雨戸を設置するメリットが大きくなります。

家全体に設置するのはどうかな?と悩んでしまう場合でも、例えば寝室だけ・特に静かに過ごしたい部屋にだけ設置するのもおすすめです。

雨戸やシャッターには、外の音を軽減すると共に、自宅から漏れる音も軽減する効果があります。
音楽教室をお家で開かれている場合や、お子さんが音楽教室に通われていて自宅でよく練習する場合も、雨戸やシャッターを閉めることで窓一枚の場良いと比べ近隣への迷惑をあまり気にせず練習が可能ですよ。

3:防火性能が高い

弊社のある尼崎市や伊丹市、建築させていただいている阪神間には防火地域が多くあります。
防火地域では窓ガラスに網入りのガラスを使わなければいけない場合がほとんどですが、雨戸やシャッターを設置することで、普通のガラスを使用することが可能です。

そもそも防火地域で窓ガラスに網入りガラスを使用するよう義務付けられているのは、火災の燃え移りの原因が『高温で割れた窓ガラスから発生する』ケースがほとんどでだからです。
延焼に強い雨戸やシャッターがあると、近隣の家事が燃え移るリスクを軽減することが可能です。

防火地域では、『延焼リスクの軽減』と共に、『普通の窓ガラスが使用できる』等、雨戸やシャッターを設置するメリットが多くあります。

4:台風に強い

近年大型の台風が増え、甚大な被害が出ることが多くなりました。
記憶に新しいのは、2018年9月の台風21号ではないでしょうか。
大きなところで言えば、関空が浸水被害で5000人以上が孤立した他、連絡橋が破損しました。
住宅地では大規模停電の他、戸建てや集合住宅の外壁や屋根が飛ばされたり、看板や木が倒れるなどの被害が多く発生しました。


※関西国際空港浸水被害の様子(毎日新聞デジタルより)

このように、台風の脅威は常に身近にあり、いつ自分の家に飛来物が飛んでくるか分かりません。
窓にあたって割れてしまった場合、台風の脅威の中、窓ガラスが無い吹きさらしの状況となってしまいます。
その点雨戸やシャッターがあれば、台風が来る前に閉めてしまう事で、強風による飛来物から窓を守ることが可能です。

以上4点についてお心あたりのある方、雨戸やシャッターのメリット大きいな!と思われた方は、家づくりの際に雨戸やシャッターの設置をぜひご検討くださいね。

雨戸・シャッターを設置するデメリットは?

雨戸やシャッターを設置するメリットがあれば、もちろんデメリットもあります。
どんなデメリットがあるのかこちらもいくつかご紹介させていただきますね。

1:初期費用がかかる

雨戸やシャッターを設置する場合と設置しない場合。
設置「する」か「しない」なので、分かりやすく材料費や工賃などの初期費用が発生します。
当然建築費が上がってしまいます。
新築住宅を建てる際にはどうしても予算オーバーになりがちだからこそ、建築費の増額は注意すべきポイントです。
雨戸一つだけならそこまで大きな金額ではないでしょう。
しかし、家全体に設置するとなると大きな費用になります。
建築費の増額を防ぐためにも、予算に余裕が無い場合は、本当に必要なのか、必要ならどの窓に必要なのか。
防犯上心配な窓や、風の影響を受けやすい窓など、必要だと思うところだけ設置する方法を検討されることをおススメします。

2:デザインがいまいち

雨戸やシャッターには、戸袋やシャッターボックスが付属します。
好みは人それぞれですが、やはり家の外観がやぼったくなると感じられる方が多いです。
特にデザイン性の高いお家や、シンプルな外観、逆にかわいい雰囲気のお家との相性があまりよくない気がしています。
ほとんどのメーカーで複数のカラーが選べるので、雨戸やシャッターを設置する場合は、外観や外壁との相性を考えて違和感のないように仕上げる必要があります。

3:メンテナンスのコストもかかる

雨戸やシャッターを設置した場合、初期費用の他メンテナンスのコストも発生します。
雨戸は手動で開け閉めを行うため故障が少ないですが、電動のシャッターの場合、故障で動かなくなることもあり、メンテナンスは欠かせません。
修理が終わるまでは開け閉めを行えなくなるのも、シャッター特有のデメリットと言えるかと思います。

雨戸・シャッターの替りになるものはあるのか

雨戸とシャッターのメリットとデメリットをいくつかお伝えさせていただきましたが、最後に、雨戸やシャッターの替りになるものをご紹介いたします。

1:目隠し格子

キッチンや浴室等、表からは見えない死角になる場所で数多く採用されている面格子。
弊社では、雨戸やシャッター代わりとしても人気があります。
下記の写真は、伊丹市のモデルハウス「さくらの木の家」(※現在は見学いただけません)の目隠し格子です。

浴室の窓に設置されているような固定の面格子とは違い、雨戸のように手動で開け閉めできるのが特徴です。
通常はアルミ製ですが、家の雰囲気に合わせて木で造作することも可能です。
もちろん、防火地域で認められている雨戸やシャッター同様とはいきませんが、防犯や台風対策には十分威力を発揮してくれます。
デザイン性も高く、雰囲気を好みに合わせて変えることができる上、閉めた状態で家の中にいても閉塞感が無いのがおススメのポイントです。

2:防犯ガラス

弊社のような高気密高断熱住宅の場合、ペアガラスは通常の仕様になりますが、防犯ガラスは少し違います。
温熱環境を考えたガラスとは違い、防犯ガラスは2枚のガラスで特殊なフィルムを挟み、ドライバーやバールによるこじ開け被害を軽減します。
プロの空き巣(こんなものにプロという言葉は使いたくありませんが・・・)なら、一般的なガラスは音もたてずに数秒で割ってしまいますが、防犯ガラスならそうはいきません。
こじ開けたり割るのに時間がかかるため、空き巣が嫌がる設備の1つです。
飛来物に対する強度も同様なので、防犯と台風被害を軽減するには最適なアイテムだと言えます。
その上、見た目は一般的なガラスと変わらないので、雨戸やシャッターで外観のデザインを崩さずに済むのも嬉しいポイントです。

まとめ

雨戸やシャッターは必然ではなくなった設備のため、設置するかどうかはお客様次第です。
またしても、コラムで毎回登場する「暮らし方」というキーワードになってしまいますが、雨戸やシャッターもまたお客様の暮らし方と密接に関係します。

例えば、朝出かけて夜まで誰もいない家の場合。
雨戸やシャッターをしっかり閉めて家を出ることで、防犯ができ、気持ちがとても楽になるかと思います。
防火地域の場合でも、お庭にこだわり外の景色を楽しみたいなら、一般的なガラスが使用できる雨戸やシャッターを設置するメリットがあると思います。
網越しの景色と、クリアな景色はやはり違いますからね。

家の設備を考える際、大切なのは一般的に「どうか」ではなく、自分たちの暮らしは「どうか」ということ。
雨戸やシャッターの設置を考える場合は、自分たちは家を空ける時にどんなことを考え思っているのか。
自分たちが家を建てる場所は、騒音・台風・街並みがどういう地域なのか等、しっかり考えて、雨戸やシャッターをどうするのが一番心地よく暮らせるのか考えてくださいね。

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