ウッドショックと良い家づくり

2021/11/10 | お金のこと TOPICS

2021年4月ごろより、業界内で話題になっていたウッドショック。
ついに5月下旬より一般にも報道されるようになり、今年も残り2か月を切りましたが、一向に改善される気配はありませんね。

日本経済新聞2021年5月25日付朝刊よりウッドショックの記事

今回のコラムでは、ウッドショックによる影響と共に、お客様が今できることは何か。
家づくりの流れと共にお伝えしたいと思います。

そもそもウッドショックって何?

ウッドショックとは、世界的に木材の供給不足が発生し、価格が高騰することを言います。

過去に2度、ウッドショックは発生しています。

最初は、1992年~1993年。
アメリカやマレーシアの天然林の過剰伐採を抑制する動きに端を発しました。
2度目は2008年、記憶にもまだ新しいリーマン・ショックが起きる直前のことです。
アメリカの好景気で住宅の建設ラッシュとなり、木材の価格が上昇したのがウッドショックが起きた理由です。

そして、3度目の今回は、まさに新型コロナが理由です。

ウッドショックが発生した理由その1:新生活様式

コロナの影響で生まれた新生活様式の1つ。
リモートワークの急速な普及により、郊外への移住や戸建て住宅の需要が高まっていることから、新築やリノベーションの需要が急増しています。
この現象は世界規模、特にアメリカと中国という2大国で起きているため、住宅業界に及ぼす影響は膨大です

ウッドショックが発生した理由その2:低金利ゆえの消費増

新型コロナ対策の1つとして、日本をはじめ世界各国で低金利政策を行っております。
その中でも特にアメリカは、2023年までゼロ金利を維持すると発表しており、アメリカの国内消費は増加しています。
特にローンで購入するのが一般的な住宅は、金利ゼロの影響が出やすく、住宅需要は日々増すばかりです。

ウッドショックが発生した理由その3:輸出用コンテナの制限

木材を輸入するためには、大量のコンテナが必要となります。
ですが、新型コロナの影響により家の中で購入する。いわゆる通販の需要が世界的に増え、物流業界が活性化しています。
活性化というと、良い言葉のようですが、活性化することでコンテナ不足が世界各国で起きているのが現状です。
たとえ木材を輸入購入できたとしても、慢性的なコンテナ不足と需要の増加により、輸送価格の高騰が起こり木材価格に反映しているのです。

ウッドショックは現在どのような状況か

材木先物 ローソク足チャート - Investing.com
Investing.comより、材木先物 ローソク足チャートより

上の図は、木材の先物取引の価格を、1980年から表示したものとなります。
2020年から異常な値上がりが始まっているのを実感いただけるかと思います。

木材需要の拡大が続き、世界的に木材が供給不足となり、価格の高騰が世界中で始まりました。
日本も例外ではなく、木材が不足状況にあり、輸入材、国産材に限らず、ひどいところでは昨年比3倍~6倍ほど価格が高騰していると聞いています。

輸送も、国内消費の増加もあまり関係のない日本で、「なぜ国産の木材まで高騰するのか」と、思われるかもしれませんが、日本の木材自給率が約3割と低いのが原因です。
国土の7割以上が山地の日本で、使用する木材の約7割は輸入材に頼っているのが現状です。
そのため、安価な輸入材に頼っていたハウスメーカーや工務店が、国産材を慌てて取り合う事態に陥っているのです。

ウッドショックを反省理由に、「国内の自給率を上げればいい」という考えもあるかと思います。
しかし現在の日本は、国内で流通する木材の多くを安価な輸入材に依存した環境にあります。
急に国産材の流通を増やそうにも、そもそもの木材もなければ、環境や人材もありません。

ウッドショックの影響はどうなる?

木材不足で家が建てられなくなる

すでに何度か耳にしたのが「このままでは上棟できない」という、同業者の声です。
ウッドショックが発生したことで、ハウスメーカーや工務店では「建築建材が」「いつ」「どのぐらいの価格で」仕入れられるか、先行き不透明な状態が続いています。

基礎工事が完了しても、木材の仕入れが遅れており次の工程に進めない。
仕入れ時期が不透明で着工時期が決められない。等、お引き渡しが大幅に遅れる事例が益々増えると考えられます。

価格が高騰する

木材が不足し、価格が高騰すれば、それを使用する住宅価格も値上がるのは当然です。

具体的にいつまでこのウッドショックが続き、どれぐらいまで価格が高騰するのか見通しが立たない状況では、従来通りの相場で家を建てることが難しいのは十分想定できることです。

今できることはあるのか

数年後に家を建てる予定という方は別です。
「今」まさに家を建てようと話し合っている方、話し合おうとされている方ができることはたったひとつです。

まずは弊社を基に、木材発注までの流れをお伝えしたいと思います。

家づくりは間取りづくり(プラン作り)から始まります。

おおよその流れは下記のとおりです。

1:プラン作り

2:立面を起こす

3:間取りを決める

4:断熱計算・構造計算

5:木材発注

1のプラン作りではどのような家を建てたいか。
間取り(プラン)をしっかりと決めていきます。

2では、1で決めた間取り(プラン)を立面図に起こします。
立面図とは、建物を真横から見た図面です。

3の間取り決めは、1と変わらないようですが、この段階で窓の位置や大きさ、種類を確定させます。
断熱の性能や、窓ガラスの種類も確定させます。
建築確認後は変更できません。

1~3が確定した段階で、断熱計算と構造計算に入ります。
断熱計算は義務化されているため省けませんし、構造計算も簡単に済ますことはできません。
そのため、4の工程(断熱計算・構造計算)には最短でも1か月半要します。

構造計算の中で、木拾いを行います。
木拾いとは、確定したプランの家を建てるためには、何cmの木材が何本、何㎝梁が何本、何m必要か明確にすることです。
材種や寸法も確定させます。

木材の寸法だけでなく、材種も構造計算を行ってから選ぶのは、以前もコラムでお伝えした通り、それぞれ強度が違うからです。

木材は適当に発注しておけばいいというものではなく、好きなデザインや空間の作り方。
広さや階数によって、安心して暮らせる安全な家を建てる為に必要な寸法と強度が違います。
ここまで決まってようやく、建てる家に相応しい木材を発注できるのです。

弊社では、この流れを最短4か月~平均半年かけて行っております。
お話をお伺いしてから、最短4か月、平均半年かかるとなると、その時の木材流通がどのようになっているのか現在の状態では予測はとても困難です。

弊社だけでなく、注文住宅なら上記流れの中で短縮できる過程はほぼないのではないかと思います。

あえて短くすることができる過程を上げるなら、1にかかる時間を減らすことでしょうか。
どう暮らしたいのかをより明確に伝えやり取りを早めることで、次の過程へ早く進むことができるからです。

家づくりが始まっているお客様は、引っ越しを含め完成の予定時期が決まっている場合もあるかと思います。
その場合は、工期が遅れる危険性を少しでも減らし、価格が跳ね上がるリスクを避けるためにも、プラン決めを迅速丁寧に行う事をお勧めいたします。

上記は、弊社の流れを参考に、現在家を建てようとされている方に向け、今できることをお伝えさせていただいた内容となります。
他社さんはどのように木材を使用し、どのように発注されているか分からないので、参考までにして、検討している会社さんに直接お問い合わせくださいね。

弊社のお客様につきましては、ウッドショックも含め、気になる点をお問い合わせいただきましたら直接ご返答させていただきます。(状況は随時変化するため、コラムでは書くことができず申し訳ございません。)
家づくりには自分たちの想いだけでなく、今回のウッドショックのように社会情勢も大きくかかわってまいります。
気になった点や不安な点をそのままに時間を過ごすのではなく、気軽に相談して、安心して次へと進めるよう努めてくださいね。

まとめというか、ウッドショックで思う事

弊社はずっと、地産地消が理想だと言い続けてきました。
モデルハウスも地産地消の良さを少しでも知ってほしく、地産地消の材を数多く使用しています。

地産地消の何がいいかというと、
1:その土地の気候風土にあっている(その土地で育ったのだから当然と言えば当然です)
2:輸送コストがほとんどかからない(その土地のものを使用するのだから、コンテナなんていりません)
3:必要な場所で必要な人材が育つ(土地にあった技術の継承が行われる)
4:必要な場所がしっかり維持される(仕事になれば廃れない)
5:外国に頼らなくてもよい(自給自足は安心をうみます)

地産地消はこんなに良いこと尽くしです。
なのに、なぜ進まないかというと、少しでも安く買おう、少しでももうけを増やそうとするからだと思います。

でも今回のように、安価な輸入材に頼った結果、荒れてしまった山を元に戻すには膨大な時間がかかり一朝一夕にはかないません。
きっと、今から山づくりをはじめても木材として使用可能になるより、ウッドショックが収まり安価な輸入材が豊富に流通するほうが早いでしょう。

一度壊れたものを元に戻すのは、0から作るよりも困難なことがほとんどです。
これを機会に、価格だけでなく、地産地消の持つメリットに目を向けてほしいなと思う、無垢材オタクの工務店でした。

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