杉について知っていますか?
2023/03/03 | お家のこと 自然素材のこと TOPICSこんにちは、春は素敵な季節ではなく花粉症の時期だと思ってしまう、いなほ工務店のWEBスタッフです。
今年も例年通り、花粉の飛散量の情報が天気予報と共に流れる季節になりましたね。
「飛散量」という言葉を聞きながら「悲惨量」と変換してしまう日々です。
そんな、花粉症の人を毎年悩ませる杉ですが、家づくりには欠かせないとても素晴らしい樹木です。
今回のコラムでは、「吉野杉」といったブランドもある樹木「杉」についてお伝えいたします。
そもそも杉ってどんな木?
杉は、日本だけに自生している固有の品種だということはご存じでしょうか?
日本固有の針葉樹で、日本で最も多く植林されている樹種でもあります。
杉がなぜ日本で最も多いのか、それは環境への適正範囲が非常に広いという点が挙げられます。
丈夫な樹種のため、日本各地で古くから造林されており、日本の人工林の中でも面積で約43%を占め、植林樹種の中で圧倒的1位を誇っています。
日本中どこに行っても花粉症に悩み、花粉症マップに全国地図が採用されているのはこれが理由ですね。
杉はまっすぐに伸びた幹が特徴で、大きいものでは数十メートルにまで成長します。
杉材は古くから日本の建造物に採用され、街の発展に大きく貢献して来てくれた木材なのです。
柔らかく曲げやすい性質を持っているため加工しやすい特徴がありますが、それだけではなく杉の中には別の木か?と思わせられるほど固い杉材もあります。
扱いやすさと多様な性質ゆえ、建築材として用いられるほか、船や樽や桶など幅広く活用されてきた歴史があります。
ちなみに、杉の学名は「Cryptomeria japonica」と言い、「japonica」は「日本の」という意味です。
そして、「Cryptomeria」は「隠れた財産」という意味を持ちます。
合わせると「隠れた日本の財産」という意味になり、財産となるほど利用価値の高い日本固有の樹種だということが名前からも分かります。
あれ?ほかにも「スギ」という言葉が付く木はなかったかな?と思われるかもしませんが、「ヒマラヤスギ」や「レバノンスギ」は、杉ではなく実は「マツ科」です。
杉は「1属1種の日本固有の木」、「日本の国民的樹種」なんですよ。
杉は空気をきれいにする?
杉と言えば花粉!(しつこい・・・)と思われがちですが、木々が光合成によってCO2を吸収し、地球温暖化を防止する効果を持っていることはよく知られています。
しかしそれだけでなく、木々には大気中の有毒ガスを吸収し吸着して空気をきれいにしてくれる性質があることが近年分かってきました。
木々が持つ力のすごさを再認識するとともに、やはり無垢材は良いなと実感するところですが、実は「杉」はその力が他の樹種よりも強いことが分かってきたのです。
一般社団法人 大阪府木材連合会 杉スリット「杉の呼吸が暮らしを変える」からお借りしました。
より詳しい情報が得られる元ページはこちらからどうぞ
https://www.mokuzai.or.jp/2-enlightenment-slit.html
以前コラムで「木」についてお伝えした際、「木」は木材になっても調質効果や癒し物質のフィトンチッドなどがなくなることはなく、世界最古の木造建造物「法隆寺」では1300年経過した現在も十分作用しているとお伝えさせていただきました。
人間の寿命では木材となった木の力がいつ衰えるのか、分かりません。
分かることは、無垢材を使った家を建てれば、生涯木の癒し効果の中で暮らし続けることができ、次の代に受け継いだとしてもなお、変わらず癒し効果を発揮してくれるということだと思います。
図をお借りした一般社団法人大阪府木材連合会のサイトにも書かれていますが、大量の空気が必要である脳にとって、きれいな空気の中で過ごせることは脳の活性化につながり、心と体の健康に大きな影響を与えることは当然だと言えますよね。
正倉院の宝物も杉に守られている?
正倉院の宝物と言えば、例年大行列をなす「宝物展」が有名です。
正倉院の宝物は、奈良時代にシルクロードを通って集まった宝物です。
1300年の時を経てもなお、現代の人間を魅了する美しさと技術の高さ、そして驚くべき保存状態の良さが特徴です。
なぜここまで綺麗に、1300年前のものが残っているのか不思議ですよね。
その理由は、正倉院正倉はシロアリやダニに強く殺菌効果抜群のヒノキで校倉をつくり、宝物本体は杉の箱に保存されているからだと近年解明されてきました。
杉には調湿作用、調温作用はもちろん、先にご紹介した優れた空気の浄化作用があります。
宝物の劣化の原因である、二酸化窒素やホルムアルデヒド、オゾンを材になっても尚、杉が吸着し続けていたため、宝物の劣化を避けられたと分かってきました。
スカイツリーが、法隆寺の五重塔を参考に作られていることと言い、科学的裏付けができるわけではない時代、経験によって木の性質を見極め、適材適所に配してきた先人の知恵には驚かされることばかりですね。
杉材について知ろう
杉は先の特徴だけではなく、見た目の美しやさ軽さ、加工のしやすさなどの点から材として重宝されてきた歴史があります。
ここからは、材としての杉の特徴をお伝えいたします。
杉材の特徴1:暖かい
杉の木は比重が少ない分、空気を多く含んでいます。
そのため保湿性や断熱性に優れており、杉材のフローリングは人肌のぬくもりを維持してくれると言われています。
もちろん建て方次第ではありますが、太陽の力を取り入れたり、熱源をうまく利用することで、杉材のフローリングは室内をずっと暖かく保つことができると言われています。
杉材の特徴2:軟らかい
木は通称軟木と呼ばれる針葉樹と、通称堅木と呼ばれる広葉樹の2種類に大きく分けられます。
針葉樹の杉は、フローリング材に使用すると足の裏に優しくフィットし、振動や衝撃を緩和してくれる特徴があります。
杉材の特徴3:湿度に強い
もともと空気を多く含んでいる杉は、室内にこもる湿気を吸収するという特徴があります。
その上、樹脂が多い樹種のため耐水性にも優れており、カビにも強いという一面があります。
お家の施工後、杉材の含水率が安定すると、室内の湿度が高い時は吸湿し、室内が乾いているときは放湿してくれるようになり、1年を通して快適な環境を保てるようになります。
杉材の特徴4:美しい
思い浮かべる杉の姿は、天高くまっすぐに伸びた姿ではないでしょうか。
誰もが見なれた姿そのまま、まっすぐに成長するのが杉の特徴です。
そのため、杉材の木目は直線的で、節が少ないという特徴があります。
フローリングや、天井板として並べたとき、均一に揃った木目が非常に美しいのも特徴です。
また経年美化も魅力で、ゆっくりと年月を重ね生活を送るうちに、杉材全体があめ色に変化し、我が家だけの姿を見せてくれるのも杉材の素晴らしい特徴です。
杉材の特徴5:強度
いくつもの歴史ある建造物に使用されている点からも、先ほど杉材は軟らかいと書きましたが、決して強度が低いわけではありませんし、驚くほどの強度を持つものがある。
強度の幅の広さも杉材の特徴の一つです。
そして、柔らかを別の言葉で表すと、「しなやか」でもある通り、杉材にはしなやかな性質があるので地震で壊れにくいという特徴もあります。
ただ、杉材は乾燥させる際に表面割れを起こしやすく、ひび割れしやすいという特徴があります。
そのため、等級や断面状態によって強度が大きく変わってしまうのが杉材なのです。
杉は家づくりのどの部分に使うのが良いの?
杉材の魅力は、先にもお伝えした通り柔らかさや保温性・保湿性、木目の美しさです。
そのため、お家としてならフローリングや天井板など目に触れる場所に使用するのが最適です。
空間そのものを彩る形で使用することで、杉の足触りのよさや木目の美しさを楽しめるだけでなく、先にご紹介した杉の持つ力を最大限、生活に取り入れることが可能ですよ。
他にも家具の素材としても最適です。
造作家具にも非常におすすめですね。
杉材を触ってみよう!
今回は杉についてお伝えいたしましたがいかがでしたでしょうか。
もっとこういう部分が知りたい、足触り・手触りが知りたい!という方は、ぜひいなほ工務店迄遊びに来てください。
モデルハウスでご体感いただけるのはもちろん、店舗にも数多くの無垢材を見本として置いてあります。
無垢材に同じものはありません。
杉材のサンプルを触っていただいても、全く同じものは絶対にないですが、杉の美しさや柔らかさ、暖かさはご体感いただけます。
杉にかかわらず、無垢材が気になるな。という方は必ず事前に多くの無垢材とふれあい、自分たち家族に会った無垢材を選んでくださいね。