書斎は憧れ?それとも必須?
2021/12/17 | お家のこと TOPICS先日、マイホーム建築を渋る夫に魔法の言葉を妻がささやいたところ、「すぐに家を建てたい」と、夫が態度を一変させたという記事を目にしました。
その魔法の言葉は「あなたの書斎をつくろう」だったそうです。
家づくりを行う際に、夫の一日のタイムスケジュールを見ると、一人っきりで過ごせる時間は1時間もない。30分程度であることが多く、夫個人の部屋を持つことが無駄だと考えている家庭が多いそうです。
しかし本当にそうなんでしょうか。
誰でも一人っきりになれる場所、自分の趣味に没頭できる場所が欲しいと思うのは当然だと思います。
夫だから妻だから、父親だから母親だから自分のスペースは我慢する。では、なんだか悲しい気がしますよね。
今回は、家族みんなが家を建ててよかった!と思える、書斎の作り方について、施工事例を元にお伝えしたいと思います。
映画などに登場する書斎のイメージ
書斎の広さはどれぐらいがベスト?
弊社のある阪神間では土地が高く、「そもそもそんなスペースがないんですが・・・」という声が聞こえてきそうな気がしますが、実は書斎はそれほど広さを必要としません。
最低1畳でも作れるのが書斎の良いところです。
最低でも4畳以上は欲しい居室とは違い、1畳でも作れる書斎。たった1.62m²しかないと思いがちな1畳スペースでも、秘密基地のように利用すると考えると、なんだか楽しくなりませんか?
本や書類をたくさん収納したい、仕事道具をその場所に収めたいという方であればもう少し広いほうが良いかもしれませんが、デスクにパソコンを置いて作業をする。静かに映画を見たり、本を読んだりする程度でしたら、1畳でも立派なプライベートスペースが完成するのが、居室とは違う書斎の特徴です。
狭いからこそ、無駄がなく集中できるというメリットもあるので、スペースに余裕がないという方にはお勧めの広さが1畳サイズです。
扉を付ける場所がないという場合は、床や壁の色を変えることで空間に区切りを持たせることも可能ですよ。
上の事例は、階段下を有効活用する方法として、書斎スペースを製作いたしました。窓を設けることで自然光や風を取り込むことができ、狭くとも快適なスペースになりました。
お勧めは2畳の書斎
2畳分のスペースが取れるなら、書斎のサイズは2畳をお勧めします。
理由は、作業用にちょうどいいサイズ。少し大きめサイズのデスクを設置できるうえ、収納棚を豊富に設けられるからです。
本や書類だけでなく、趣味のコレクションをお持ちの方なら、家族に文句を言われずに飾ることも可能ですよね。
長時間使用する機会が少ない書斎を作ることに抵抗がある方も、書斎にその人の本や書類、趣味の道具がすべて収まるなら・・・と考えればいかがでしょうか?
とても魅力のある空間に感じられるのではないでしょうか。
写真でも分かる通り、2畳書斎はかなりゆとりを感じることができます。
在宅ワークに最適なのは3畳以上の書斎
コロナ禍で一気に広まった在宅ワーク。
今まで会社でしていた仕事を自宅で行うとなると、やはりそれなりの広さと設備が必要になります。
そのため、ほとんどの時間を書斎で過ごし在宅ワークを行う方や、狭い空間は逆に居心地が悪いと感じる方におススメのサイズは3畳以上の書斎です。
3畳以上あれば、本や書類が増えたり、コレクションが増えた場合もあまり問題ありませんし、音楽が趣味の方なら楽器を弾いたり音楽を楽しんだりする空間としても十分な広さがあります。
居室としての機能はほぼ揃えることが可能なため、書斎と居室の間的感覚のスペースとして利用できるかと思います。
書斎は仕切るべきかオープンにするべきか
考え方は1つです。
隠したい場合は、仕切るほうが良いですし、ながら作業がしたいならオープンにするのがおススメです。
例えば、キッチンやリビングのすぐそばに書斎スペースを設ける場合。
料理や趣味の本を並べたり、プリントや提出物の保管、持ち帰った仕事を家事をしながら片付けることを想定されている方が多いようです。
その場合、扉を付けるスペースと費用が無駄なことはもちろん、扉を開け閉めする手間も無駄になるので、オープンスペースの方が効率的ですよね。
逆に、在宅ワークで静かに作業する必要がある場合や、趣味の物を並べたい場合。
1人で静かに過ごしたい方や、映画や音楽を一人で楽しみたいという方の書斎は、仕切ったほうが良いと言えます。
そして、扉で仕切るメリットは、自分だけの空間ができるということだけではありません。
生活感のないおしゃれな生活をしたいと望んでいる場合、どうしても生活感の出るアイテムってありますよね。
おしゃれな暮らしを取り上げている雑誌などでは、絶対にカバーがかけられている本もその一つだと思います。
背表紙のデザインに統一感はなく、サイズも色もバラバラなのだから当たり前と言えば当たり前ですが、全部の本に真っ白のカバーをかけて生活感を無くす・・・のはあまりに非効率ですよね。
そして、書斎のデスクの上はいつでも綺麗かと言われるとそうでない時も多々あるかと思います。
作業をし、書類を広げているのですから当然です。
そんな時でも、扉をしめるればごちゃごちゃしたものが全て隠せるのが、扉で仕切るメリットです。
仕切るかオープンにするか悩んだ場合は、どんな使い方をするかな?と、いつものようにライフスタイルから導いてくださいね。
素敵な書斎アイデア
階段下を利用した書斎スペース
階段下に設けたオープンタイプの書斎スペース。
階段下を有効利用するのはもちろん、棚の下部段には床下エアコンを収納しています。
オープンスペースに設けたカウンターのような書斎
階段上がってすぐの場所フリースペースにカウンターを設けています。
広いカウンターの下にはコンセントも設置し、誰でもいつでも気軽に使用できる書斎スペースです。
キッチンカウンターと書斎を兼ねて
キッチンカウンターを端まで伸ばし、棚を設けることでカウンターだけではない利用方法が可能になります。
ながら作業がしやすく、わざわざスペースを設ける必要がないので、広い土地が望みにくい阪神間ではお勧めの書斎スペースの取り方です。
コンセント位置や照明の位置を事前に考えておくことでよりスッキリとした、使いやすい空間になりますよ。
リビングスペースに造作家具の1つとして
キッチン横に造作家具と同じ素材で製作したデスクスペース。
背面に奥さんお気に入りのタイルを貼り、ライフスタイルとデザインと好きがしっかり共存できました。
オープンな場所だけど、自分だけの空間!にしたい場合、自分の「好き」を取り入れることで、ここが誰のスペースかしっかり主張できるので、フリースペースとしての書斎ではない場合はぜひ取り入れてほしい手法です。
扉をガラス戸にした書斎
扉は欲しいけれど、締め切りたくはないという方におススメなのが、ガラス扉の書斎です。
ガラス扉には木では味わえない雰囲気もあり、アンティークな空間がお好きな方にもお勧めの扉設置法です。
両側に棚をふんだんに設けた書斎
こちらのお施主さんは、家族全員で使用する読書ルームとして書斎を設けられました。
本はとても重いので、書斎に本をたくさん並べたい!という場合は、当初から棚を豊富に設置し、本の重さに耐えられる厚みの板を使用したプランを考えられるのがおススメです。
和室に大窓を設けた書斎
本を読んだりPC作業をしたり。書類に目を通したり等、作業をすることがメインとなる書斎。
目や神経に負担がかかります。デスクの前に窓があると、窓の外の景色を眺めて目を休めることができますよ。
その上、畳スペースなら体を伸ばして筋肉をほぐすことも可能です。
窓は狭いスペースを広く感じさせる効果もあるので、書斎の狭さが気になる場合はぜひ窓を取り入れることを検討してくださいね。
ロフトに設けた自分だけの書斎
こちらのご主人が希望された「いつでも何も気にせずにいてもいい場所」として、ロフトに書斎を造られました。
床に畳を敷き、テレビや趣味の物で囲まれた秘密基地のような書斎です。
高気密高断熱住宅のメリットの1つが、ロフトもしっかり部屋として活用できる点にあります。
ロフトの欠点は夏場の異常な暑さですが、高気密高断熱住宅なら異常な暑さにはなりません。(もちろん、冷気がたまる1階ほどの涼しさには絶対になりませんが)
電気配線やwi-fiの設計、テレビのアンテナなど。事前にロフトを居室として考えた設計を行う事で、快適な書斎スペースとしての利用が可能です。
まとめ
書斎と一言で言ってしまうと、部屋の主が長時間過ごすわけではない無駄なスペースと思われがちですが、忙しすぎる現代社会の中でとても貴重な休息時間をゆっくり取れる場所。
または、その場所に必要なものや趣味の物を集約することで、逆に散らからない。ものを無くさずに済むと考えると、とても利便性の高い空間と言えます。
高性能住宅を建てる場合、快適な空間が家中に広がっているので、「この形」と決めてしまう必要がありません。
自分たちの生活にあった、プライベートスペースはどんな形か。
居室サイズの個室がいるのか、1~3畳の書斎で良いのか。またはちょっとした空間だけで良いのか。
家づくりの際には、ぜひ自分の居場所はどうしたいのかもじっくり考えてみてくださいね。