許容応力度計算の重要性について
2020/10/19 | お家のことそもそも許容応力度計算とは?
「許容応力度計算」とは3階建以上の建築物には必ず用いられる構造計算の方法のことです。
間取りの横軸、縦軸で耐力壁の量が十分かどうかを検証するだけの「壁量計算」とは違い、建物にかかる固定荷重や積載荷重に地震などの長期荷重、及び短期荷重を想定し部材(構造部材)の内部に生じる抵抗力を計算します。
その上で、それぞれの部材がそこにかかる応力に耐えられるかどうかを検証するものです。
3階建て以下なら許容応力度計算はいらないの?
法律的には必要ありません。
しかし、より確実で安全・安心いただける耐震性能を得るためには、常に行うべきと考えています。
特にいなほ工務店が営む地域は、伊丹市から徒歩3歩の尼崎市に位置しています。
阪神淡路大震災の際に、駅舎が落ちた「伊丹駅」は、最寄り駅の隣の駅。
※当時の伊丹駅(朝日新聞デジタルより)
絶対に忘れてはいけない記憶であるとともに、いなほ工務店を選んでくださったお客様が安心して暮らし続けていただけるよう、全棟で許容応力度計算を取り入れています。
許容応力度計算についてもっと詳しく知ろう!
全ての建築物に対して、地震に対する安全性を確認するための構造計算が義務付けられています。
しかし、2階建て以下の木造住宅は特例(四号特例)で義務化されていません。
9割以上の住宅が簡略化された仕様規定(壁量計算、配置バランスの確認など)で構造計算を行っています。
建築確認申請時にも計算書の提出は義務付けられておらず、設計者の裁量に任されているのが実情です。
許容応力度計算の中身
柱や梁などが荷重や地震に対して十分に耐えられるかどうかを細部まで計算します。
- 鉛直荷重(重さに耐えられるか)
- 風荷重(風力に耐えられるか)
- 地震荷重(地震に耐えられるか)
- 層間変形(構造を支える柱がどれだけ変形するか)
- 偏芯率(柱の配置のバランス)
- 剛性率(各階のバランスによりねじれに耐えれるか)
- 解析(各部材、接合部に加わる力は大丈夫か)
上記の内容を許容応力度計算では実施しています。
許容応力度計算をしている建物は絶対に倒壊してはいけない建物に対し常に実施されています。
学校や警察署や消防署、病院等が分かりやすい例ですし、ガソリンスタンドがとても地震に対して強いのも絶対に倒壊してはいけない建物だからです。
しかし、ここまで書いてみてやはり不思議でなりません。
上記例は、絶対に倒壊してはいけない建物であるのは分かりますが、家だって絶対に倒壊してはいけない建物ではないでしょうか?
家族を守る、常に家族が帰ってくる場所は、安全でなくてはいけないと思います。
なぜ絶対に倒壊してはいけない建物に属していないのかその理由は分かりませんが、できない理由は分かります。
許容応力度計算が行われない理由
- そもそも義務化されていないから行わなくても違法ではない
- 使用する部材が数値化できない
- 許容応力度計算をするスキルを持った人材が不足している
- 手間やコストがかかる
上記から、確かに許容応力度計算にはとても労力と経験が必要です。
許容応力度計算を実施する住宅会社はとても少なく、90%以上の木造住宅が許容応力度計算を実施せずに建てられているのが現状です。
また耐震等級3でも『壁量計算で計算した耐震等級3』と『許容応力度計算で計算した耐震等級3』では全く別物になるので、ご注意ください。
私たちいなほ工務店では、どんなに手間がかかろうとも安心や快適は安全なくしてあり得ないという考えから、全棟許容応力度計算を実施しています。