「狭小地」を考える

2021/03/28 | 土地のこと

今回は、いなほ工務店がとても得意とする、狭小地に建つお家のことをお伝えしたいと思います。

弊社のある尼崎市・伊丹市周辺は土地が高く、又昔から続く、小さな土地に家が建てられている地域が数多く残っています。
そんな立地状況から、都市型3階建てのニーズが以前から多く、それぞれの狭小地が持つ特性を生かしつつ快適に暮らせる家を建ててきました。

狭小地と一言で言っても、その土地の条件や行政の規制、建築基準法らより有利な土地と不利な土地が存在します。

狭小地を最大限に活用する建て方とは?

1.規制について

最初にお伝えしたいのは、各市町村には最低敷地面積という規制があるという事です。

これは、新たに土地を分割して建築を行う場合に適用される規制で、各市町村各用途地域別最低敷地面積が定められています。

例えば尼崎市では

  • 第1種・第2種低層住居専用地域130 ㎡
  • 第1種中高層、第2種中高層90 ㎡(但し、JR 東海道本線以南の地域は80 ㎡)
  • 第1種・第2種住居地域 80㎡(但し、JR 東海道本線以南の地域は70 ㎡)

他地域別等となっています。

※この条例以前に既に分筆されていて、一定の条件を満たす土地は建築が可能です。
例えば、昔から建物が建っていた小さな土地

2.建築基準法

(1)道路斜線制限

前面道路の幅員に応じて、道路斜線制限という規制があります。
狭小地の場合前面道路が4m前後という立地がほとんどですが、この場合道路斜線制限により、2階建てはほとんどのケ-スで支障はありませんが、3階建てとなると一定の規制を受ける事となります。

しかし、現在「天空率計算」という専門的な計算により、3階建てはほとんどのケ-スで対応可能です。
この「天空率計算」は少し特殊な設計となる為、狭小地住宅の建築が得意な会社以外は対応が難しいのが正直なところです。

ちなみに、弊社は得意ですし、この天空率計算のおかげで狭小住宅のデザインの幅が広がったことが、お客様のことを考えると本当にうれしいです。

天空率計算とは?

平成15年1月1日より導入さえた制度で、改正建築基準法第56条に定められた「高さ制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)」の項目に、新たに追加された概念、指標です。

従来の高さ制限では、新たな建物を建てる際に周りの道路、通路、建物から日照・採光などを奪わないよう、建物の高さを勾配で押さえる必要がありました。
そのため、どうしても道路に面した面を切り落とす形にデザインする必要がありました。

天空率という概念が高さ制限の項目に取り入れられたことにより、従来のような仕様規定による制限ではなく、採光率がどれぐらい確保できればいいのかといった性能規定が明確になり、より幅のあるデザインで高さ規制をクリアすることができるようになりました。

天空率は、任意の測定ポイントから正射影投影(魚眼レンズで空を見上げたもの)された「天空図」において、建物の投影されている範囲を除いた空の見える部分の割合がどれくらいかを示す指標です。
簡単に天空率を数値化すると、『天空率(%)=円の面積(Sa)-建物投影面積(Sb)/円の面積(Sa)』となります。

(2)高度規制

こちらは、北側に対しての斜線制限となっています。

各市町村により地域ごとに設定されていて、3階建て以上の建物は非常に影響を受ける規制となります。
この規制には、道路斜線の様な「天空率計算」による緩和がない為一番注意が必要な規制となっています。

一般的に、良い土地は「南向き」と言われておりますが、狭小地においては異なります。

それは、北側斜線制限が存在するからです。

狭小地においては。「北向き」が一番大きな建物を建築する事が可能です。

但し、各階の階高の調整や基礎の利用、桁落ちと言われる手法等により、どの向きの土地であっても活用できるスペースを広くすることが事が出来ます。
これも数多く経験があればこそなので、狭小地に家を建てようと考えた時は、ぜひ経験豊富な会社にご相談くださいね。

(3)建蔽率

狭小地における建蔽率はほとんどの場合、敷地の60%となっています。
但し、低層地域の場合50%となる為、低層地域には注意が必要です。

又、角地や両面道路の場合建蔽率が10%緩和され、70%となる為狭小地を探す際の一番良い狭小地とは、角地両面道路となります。

狭小地を買うなら一番いいのは角地?

別の緩和として、準防火地域における準耐火建築物に対しては、建蔽率が10%緩和され、70%になります。
準防火地域は尼崎市に多く、伊丹市に少ない状態です。

一般的には「準防火地域」はサッシの価格が上がる等敬遠されますが、狭小地においては「準防火地域」が有利です。
ちなみに大阪市内等は建蔽率が既に80%の地域が多数存在し、狭小地に有利な地域と言えます。
準防火地域の多い市町村は近隣ですと、尼崎市、神戸市、豊中市、大阪市等です。

区域を○○市等に限らず、阪神間で土地を探す場合は「準防火地域」も含めて検討されると良いかと思います。

(4)隣地との空寸法

通常民法では、隣地から有効50㎝離して外壁を建てないければいけないという規定が存在します。

狭小地の場合この規定の影響を受けやすい事が特徴です。
やはり、ここでも角地等は有利ですね。

但し、隣地様の同意を得た場合や、周辺地域がほとんど50㎝の空きが確保できていない地域等は適用外となります。

   

狭小地といってもどの程度の土地が必要か?

ここで目安をご紹介します。

通常の建蔽率60%の場合

当社設計の目安は50㎡以上となります。
建蔽率60%の為50×0.6=30㎡ 30×3階建て=90㎡ (27.22坪)となり、計算上は3LDKと駐車場1台分の設計が可能となります。

但し、斜線制限、土地の形状等の状況により変化するので、注意が必要です。

準防火地域や角地、両面道路の場合

42㎡以上となります。

準防火地域は建蔽率70%のため、42×0.7=29.4㎡ 29.4×3階建て=88.2㎡(26.68坪)です。
3LDKも必要ない場合等はもっと小さな土地でも建築可能です。

狭小地は基準や規制が非常に細かく、どれだけの建物が建てられるのか判断が非常に難しい為、取り扱いに注意が必要です。
購入を決める前に、狭小地に慣れた工務店への相談を忘れずに行ってくださいね。

まとめ

「土地が高い為、狭小地のノウハウを利用してベストなチョイスを行う」

決して狭小地の購入をおススメしているわけではありませんが、実は、この狭小地ノウハウを駆使すれば、お客様の希望される間取りに対して、想定より小さな土地にて建築が可能となることがあります。

近年の土地高騰により、建物に掛ける費用を土地に回すしかない状況を多々目にしています。

そんな中、少しでも小さめ土地であれば当然土地価格も下がりますよね。
そこに、希望通リの「心地よく暮らせる」建物を建ててしまおうという考えです。

大きな庭が欲しいという方には、この考えは当てはまりませんが、予算に限界があるが駅近等を希望されている方等には最適の提案だと思います。

2階建てであっても土地の選び方、設計手法をとることで、小さめの土地でも理想に近い家を建てることが可能です。
家を、土地と建物として別々に考えるのではなく、「家」として考えることで、土地探しの幅も広がります。
何度も書きましたが、大きな買い物だからこそ、決めてしまう前に相談することを忘れないでくださいね。

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