素晴らしい和瓦「淡路瓦」

2023/12/06 | 家づくりのこと 自然素材のこと TOPICS

こんにちは、いつもサイトをご覧くださりありがとうございます、いなほ工務店です。
先日、「青森ヒバ」についてコラムを書かせていただいたところ「勉強になりました」というメッセージを頂戴しました。
家造りを行う方の役に立ててる!弊社の大好きな木の良さを伝えられている!と実感できることはとても嬉しく、もっと頑張ろうと思う出来事でした。
もしよろしければ、何か読んでみたいもの、内容がありましたら是非お問い合わせフォームよりリクエストください。よろしくお願いいたします。

ということで今回のコラムは、青森ヒバに匹敵・・・あるいはそれ以上に驚かれることもある、弊社モデルハウスの外壁と屋根に使用させていただいている材「淡路瓦」についてお伝えいたします。

淡路瓦とは?

日本には「日本3大瓦」と呼ばれる、長い歴史を持つ有名な瓦の産地があります。
愛知県三河地方の「三州瓦」、島根県石見地方の「石州瓦」、そして兵庫県淡路島の「淡路瓦」です。
この3つの地域は非常に良質な土がたくさんとれたため、瓦の製造産業が発展したと言われており、日本の瓦流通量の85%を占めています。
それぞれ産地ごとに瓦の性質や特徴が違うため、瓦を使用したいと考えられる場合は、見た目はもちろん瓦の性質や特徴で選ぶことが推奨されています。

そんな3大瓦産地の1つである兵庫県の淡路島で作られているのが、淡路瓦であり、その代名詞ともいえるのが「いぶし瓦」です。
いぶし瓦の特徴は「いぶし銀」と言われる渋い銀色の光沢で、土の焼き締め後に燻化(くんか)と呼ばれる蒸す作業が加わることからそう呼ばれるようになりました。
光が当たると白っぽくなるうすい灰色は、多くの人がイメージする日本瓦・和瓦だと言われており、推奨建築は伝統的な和風建築とされています。
日本が誇る世界遺産の1つ「姫路城」にも「いぶし瓦」が使用されるほど、気品に満ちた輝きが特徴です。
※姫路城の瓦は淡路で作られたものではなく、同じいぶし瓦ですが姫路の窯元で作られた地産地消の瓦です。

淡路瓦の歴史

淡路瓦の歴史は古く、起源は慶長15年(1610年)までさかのぼります。
姫路城主池田輝政の三男忠雄は淡路島を所領とした際、成山城築城のために播州瓦の名工清水理兵衛を呼び寄せて瓦を焼かせたのが淡路瓦の始まりと言われています。
理兵衛が播州に戻った後も、理兵衛の息子である弥右衛門は淡路島に残り、数十年かけて淡路島の各地へと瓦造りの技術を広め、淡路の瓦職人が代を重ねることで淡路は瓦の一大産地へと成長を遂げました。

そこから400年。
代々の職人たちは、幾多の時代を生き社会の変遷に合わせるよう、創意工夫と美意識によって数千種類を超える淡路瓦の形状を生み出してきました。
今では、屋根材としてだけではなく、小物やインテリや、床材としても重宝されており、弊社モデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」では、壁材としても採用しています。

淡路瓦の特徴

先ほどお伝えした通り、淡路で作られている瓦には幾多の種類がありますが代表的な瓦は「いぶし瓦」と言って、「銀色瓦」「黒瓦」とも呼ばれる独特の色調が特徴です。
瓦の原料となる良質な粘土に恵まれた南あわじでは、朔い土(さくいど)と粘い土(ねばいど)を調合し丁寧に捏ね上げることで、瓦に最適な原料に仕上げていきます。
粘い土は「粘土分が多くねばい土」、朔い土は「粘土分が少ない土」を指しています。
どちらも耳慣れない言葉だと思いますが、それもそのはず。
実生活で使わないどころか「朔い土」に至っては、すでに辞書からも消えてしまっている言葉であり、各県ごとに様々な呼び方をされている、焼き物や瓦、土壁などに用いられる土の種類となります。

瓦造りでは、「一に土、二に焼き、三に成形」と言われるほど、土が最も重要で、淡路島では鉄分を豊富に含んだ「粘い土」が取れます。
この粘い土は粒子がとても細かく様々な形状に加工しやすい上、焼いた際に収縮が少ないという優れた性質を持っています。

淡路瓦は、この「粘い土」と、「朔い土」という正反対の性質を持つ土を調合し、幾度も捏ね上げ入念に混錬した後、数日寝かせてから成型を始めます。
成型後、乾燥した生地に微粒子の粘土を水に溶かした吐け土を塗布してから焼き上げるのですが、瓦の表面に炭素の皮膜を形成させるため、焼成の最終段階で煤を付着させる燻化処理を行います。
この工程で「銀瓦」と呼ばれるほど独特の艶と輝きを得るのですが、この輝きは外側の見た目だけでなく、炭素が粘土素地全体に浸透しているため、芯まで銀色になっているのが驚くべきポイントです。
独特の色味が塗装ではなく、瓦そのものが持つ色であることが、50年から100年は持つと言われる所以です。
近年では、伝統的な日本建築に限らず、そのデザイン性の高さから、洋・モダン建築に幅広く利用されるようになってきました。


「淡路夢舞台 国際会議場棟」


※スターバックスコーヒー(写真は、淡路瓦様のサイト施工事例よりお借りいたしました。)

震災と淡路瓦

阪神淡路大震災以降、デメリットが多いと言われる瓦ですが、実はそのような事実は無かったことが判っています。
阪神淡路大震災の際、報道された映像にあった数多の倒壊した住宅。
そのほとんどが瓦屋根だったため、「瓦は重く、地震に弱い」「瓦が重いので家がつぶれた」という情報が流れ、信じられていました。
しかしその後の分析で、家の倒壊は屋根瓦が原因ではなく、家の構造が弱かったことが判りました。
確かに昔建てられた家の屋根材はほぼ瓦が採用されており、その当時の耐震基準で建てられた家は、阪神淡路大震災の震度7強の揺れに耐えられなかったことは容易に想像できますよね。
実際、2014年の熊本大地震では、スレートやガルバニウムの屋根材を採用していても倒壊している家はいくつもあり、瓦を採用していても倒壊していない家がいくつもあったのが事実です。

古い家には瓦が乗っていることが大多数であったため、瓦は地震に弱いという誤解に繋がったのです。

そんな誤解を受けた瓦ですが、「誤解だからよかった」で終わらず、ここからさらに工夫を重ねるのが職人さんのすごいところです。
阪神淡路大震災の震源地でもあった淡路では、このことをきっかけに瓦の軽量化に取り組み、なんと2割の軽量化を実現してしまいました。
現在は、2割の軽量化に満足することなく、さらなる軽量高強度瓦の開発にも取り組まれているとのことです。

そして震災に対する取り組みは軽量化だけではなく、屋根葺き工法の改良、構造に関する指導なども重視するなど、多方面からとれる対策を考え耐震に取り組んでいます。

淡路瓦を採用するメリット

1:台風に強く耐久性がある

瓦は重量がある為、他の屋根材に比べて飛びにくく台風に強いというメリットがあります。
また、100年もつ素材の屋根は瓦位だと言われており、実際に神社仏閣等100年以上を保っている実績があります。

2:火災にも強い

瓦自体、不燃材であり耐火材ですが、特に淡路瓦は1000℃以上の高温でじっくり焼くため、瓦の中でも特に耐火性に優れています。
火の粉にも強く、もらい火をしにくいという特徴もあり、火災に非常に強いのが淡路瓦を採用するメリットです。
更に、火災時でも溶解を起こすことが無く、有毒なガスも発生しないので、地球にも優しいのが更に嬉しい特徴です。

3:劣化にも強くて水にも強い

屋根は家の中でも特別自然環境にさらされる場所です。
特に近年の雨には化学的要因も含まれていますが、淡路瓦は様々な耐候性能に加え、酸やアルカリに対しても高い耐力性を有しており、退色・変色もほとんど見られないという特徴があります。
更に、防水性能も高く、表面の炭素膜が水をはじくという性質を持っている上、瓦自体の吸水率も少ないため、透水による漏れなども起こしにくいというメリットがあります。

4:通気性も高い

淡路瓦の施工では、下地に密着させて施工する他の屋根材とは違い、空気だけが通れる道が生まれます。
この通り道があることで、自然と通気と換気ができ、屋根の湿度と温度を調節することができます。

5:断熱性に優れ省エネ

淡路瓦は直射日光を吸収します。
そのため、耐熱性断熱性に優れ、寒さにも強いというメリットがあります。
湿度までコントロールする仕様であるため、夏は涼しく冬は暖かくなりやすく、近年家計にダイレクトに響いている光熱費の削減が叶います。

6:圧力に強すぎる

屋根全体にかかる寒冷地の積雪は当然のことながら、アンテナの取り付けといった局部分に係る荷重にも十分な強度があり、JIS企画よりもはるかに高い強度を持ち合わせています。

7:長く続く美しさ

淡路瓦は、その美しさこそ最大のメリットとも思われがちなほど、美しい瓦として知られていますが、塗装ではなく瓦本来が持つ美しさのため、火や水、熱だけでなく化学物質に対しても高い性能を誇っており、美しさが長く続くことが大きなメリットです。

屋根以外にも使える淡路瓦

弊社モデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」に訪れてくださった方は、その真っ黒な外観に少し驚いてくださります。
最近では珍しくなくなった真っ黒な外観のため、驚かれるというのが少し不思議かもしれませんが、真っ黒というとサイディングを塗装したものや、ガルバニウム合板を使用した外壁が一般的であり見慣れた形です。
ですが、弊社のモデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」で使用している外壁材は、淡路瓦の外壁材であるため、あの独特の銀の光沢をもった真っ黒の外壁となります。
塗装や合板とは違う、粘土を窯で1,000℃以上の高温で焼成することで生まれる色味が、同じ黒でも他とは一線を画す外観となるのです。
しかも、先にお伝えした通り、淡路瓦は直射日光を吸収し「夏涼しく冬暖かい」と言われる素材のため、外壁材としても非常に優れているのです。

他にも、こちらも先にお伝えした通り圧力に強いというメリットを生かしたタイル材なんかも作られ、庭園などにも採用されていますし、その独特の色味と風合いを生かしたインテリア雑貨も作られ、関西では百貨店でも購入できるようになってきました。
今年は、神戸の百貨店でも催しの1つとなり人気を博しました。

まとめ

家造りの情報、特に伝統的なものをお伝えしようとする際、いつも驚くことがあります。
それは、歴史あるものほど、変化をいとわないという点です。
時代に合わせ、時の流れに合わせて、変化を繰り返すことで生き残ってきたこの国の文化だからこそ、今の時代にも柔軟に対応し、求められるものの一歩先へ行く。
何故何百年も、そのような考えを持ち創意工夫し実行ですることができる職人が代代生まれ続いていくのか、本当に不思議でなりません。

近年見直されてきた淡路瓦のカッコよさ。
個を重視し、個性を求める結果だと言われていますが、古くから寺社仏閣に採用されてきた淡路瓦は、和風建築に欠かせないものであり特別なものではありません。
ただ、家造りの現場では工業製品が多くなり、日本独自の文化や素材が採用されにくくなっているだけです。
その結果、個性的と言われるようになっているのです。

淡路瓦に限らず、日本の時代と環境に合わせて進化を続けた優れた材が多い日本。
少し個性を出したいな、周りと被らないようにしたいなという時は、ぜひ日本の材に目を向けてみてくださいね。

淡路瓦の屋根と外壁は、弊社モデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」で見学いただけます。 黒い外壁が気になる、瓦屋根が気になる、地球に優しい素材を少しでも多く使いたいという方は、ぜひ一度ご覧くださいね。 ご予約は下記より受け付けております。
モデルハウスの見学予約はこちら→
モデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」について詳しくはこちら→

そして、弊社モデルハウスで使用させていただいてる淡路瓦は「谷池瓦産業」様のものです。
高級いぶし瓦の製造と販売を行われており、その色の美しさはサイトでもご覧いただけます。
こちらもぜひご覧ください!!
谷池瓦産業様のHPはこちらよりどうぞ→

とても素敵な備品は「株式会社タツミ」様のものです。
先にお伝えさせていただいておりました、神戸の百貨店でもイベントで販売されていました。
用途が広く、住宅の備品としてだけでなく、日常使いから、ギフトにも最適な製品をたくさん作られています。
完売済みの商品も多々ありますが、株式会社タツミのHPはこちらよりどうぞ→

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