北摂エリアって大阪のどこを言うの?

2021/11/17 |

阪神間で木の家を建てているいなほ工務店です。

「阪神間で~」とご挨拶をしておりますが、阪神間だけではなく、北摂エリアに新築を計画中の方からも多くお問い合わせを頂戴しております。
北摂エリアに新築を考えられている方の中には、関西圏以外、特に関東から引っ越してこられる方が多いのも特徴です。
先日は「阪神間」というエリアについてお伝えさせていただきましたので、今回は、大阪府内でもとても人気のエリア「北摂」についてお伝えさせていただきます。

北摂エリアの「北摂」ってどういう意味?

北摂エリアの、「北摂」という言葉は、令制国の摂津国北部に由来しています。
令制国(りょうせいこく)とは、飛鳥時代から明治時代初期まで、日本の地理的区分の基本単位として使用されていた歴史があります。

現在の大阪府北中部の大半と兵庫県南東部を広く「摂津の国」と呼び、古代には度々天皇の宮が構えられていたエリアでもありました。
令制国自体、現在は地理的区分として使用される場合がある以外、ほとんど使われることの無い言葉ですが、今もなお略して「北摂」エリアと使われているように日本各地に当時の名が残っています。
「越後」や「飛騨」、「筑後」などもその1つです。

北摂に含まれる市町村は?

先ほどお伝えした通り、北摂という名が令制国の摂津国北部に由来していることから考えると、大阪北部から兵庫県南東部内陸の阪神北地域などを指すと考えられます。

しかし、令制国摂津の国の中心である大阪から見た方位を基に、島上・島下・豊島・能勢の4郡を北摂、川辺・有馬・武庫・菟原・八部の5郡が西摂(せいせつ)と呼んできた歴史もあります。
この場合の北摂を現在の「北摂エリア」と考えるなら現在の大阪府北部が、北摂エリアと言えるかと思います。

現在の「北摂」を、大阪を起点に北摂、西摂と呼んでいた時の「北摂」と考えるなら、大阪北部のエリアのみと言えますが、
川辺郡北部や有馬郡北部、武庫郡の一部でも「北摂」という名前はよく聞かれ、実際兵庫県が「北摂」として定義しているエリアもあります。

兵庫県の定義は、阪神北地域を指し、「阪神間」の北側に当たる内陸地域を指します。

「北摂」というと、大阪だけのイメージですが歴史ある言葉であるだけに、その範囲は使用箇所ごとに変わるのがとても面白いですよね。


※国立公文書アーカイブよりお借りしました。

居住エリアとしての北摂エリア

以前「阪神間」のコラムでもお伝えした通り、居住エリアとしての「北摂」もまた、阪神間モダニズムによって富裕層向けの郊外住宅地として開発された地域となります。
特に阪急宝塚本線沿線沿いであった、池田市・箕面市・豊中市は同時期に急激な発展を遂げました。

余談ですが、阪神間モダニズムの影響は非常に大きく、2021年の大河となった渋沢栄一が開発した東京の田園調布を始めとする東京近郊の高級住宅地などにも阪神間モダニズムの影響を見ることができると言われています。

話を戻しまして、居住エリアとして考えた時、「阪神間」という言葉には狭義でも広義でも大阪府が含まれないのが1つの特徴だとお伝えしましたが、「北摂エリア」の場合は「居住エリア」として考えても「阪神間」とは違うのです。

明確な規定はありませんが、広義では「居住エリア」という考え方だけでも、今の阪神北地域(宝塚市・川西市・伊丹市・三田市・猪名川町)も「北摂」に含まれます。

「阪神間」と「北摂」。
非常に人気の高い居住エリアとして度々登場する二つの地域名ですが、「阪神間」と「北摂」には歴史の長さという大きな違いがあり、北摂には長い歴史がある分(明治からの阪神間も十分古いですが、北摂は西暦600年頃、天武天皇により制定さている)より複雑になっているのです。

ちなみに、
狭義でいう「北摂エリア」は、池田市・茨木市・吹田市・摂津市・高槻市・豊中市・箕面市。
広義でいう「北摂エリア」は、北摂7市3町+宝塚市・川西市・伊丹市・三田市・猪名川町を含めたエリアを言います。

しかし・・・大阪府と兵庫県という二つの府県をまたぐ場合、学校区を始めとしたさまざまな問題が発生します。
そのため、現在は一般的に分かりやすくするためにも、居住エリアとしての「北摂」は、池田市・茨木市・吹田市・摂津市・高槻市・豊中市・箕面市、または、北摂7市3町の、池田市・茨木市・吹田市・摂津市・高槻市・豊中市・箕面市・島本町・豊能町・能勢町である場合がほとんどです。

特に居住エリアを意識して土地や家を探すシーンでは、宝塚市・川西市・伊丹市などは、「阪神間」に含まれるため広義の意味で使用されることはほぼありません。

居住エリアとしての北摂の特徴

北摂の最大の特徴は、計画的に作られた緑豊かで大小さまざまな公園が豊富な街並みです。

他とどう違うの?と思われるかもしれませんが、北摂エリアの街並みが完成したのは1970年に開催された大阪万博の頃。
歩車分離という手法を用いて街づくりが行われました。

歩行者事故を減らすとても有効な手法と言われる「歩者分離法」は、現在も世界的に広がりを見せている都市開発法です。
主にマンションなどの集合住宅に採用されるランドプランの1つである手法を、大阪万博の頃にエリア全体に取り入れたことで、安全に暮らしやすい街並みがすでに完成しているのです。

豊中市と吹田市にまたがる千里ニュータウンは、日本で初めて歩車分離の徹底を実施したことでも有名で、平面的および立体的に分離された歩行者専用道に沿って、学校や近隣センター、公園などがバランスよく配置されおり、非常にきれいな街並みになっています。

北摂エリアの特徴

1:大阪万博の頃に完成した計画的な街並み
2:池や小山も配置された大きな公園や緑道が豊富
3:鉄道会社の相互乗り入れが充実し、新幹線や空港にスムーズなアクセスが可能

北摂エリアはなぜ人気なの?

遠方から関西に引っ越してこられる方の多くが、北摂エリアを希望する理由として子育てのしやすさが挙げられています。

北摂の特徴でもあった緑が多く自然豊かな街並みには、整備された大小さまざまな公園がありバーベキューやキャンプができる施設もあります。 遠出しなくても十分楽しめる環境は、ファミリー層に支持される大切なポイントです。

次に医療機関の充実度が挙げられます。

吹田市の国立循環器病研究センターを始めとした、国立・府立・市立などの医療機関が充実し、人口に対する割合では日本で最も医療機関が充実しているエリアだと言われています。
どの年代にとっても重要な医療機関が身近に揃っているという事は、安心して暮らしやすいという事ですよね。

土地探しの際にお伝えさせていただく、「多くの人が選ぶ土地には、明確な理由がある」という事が非常に顕著に表れているのが、北摂エリアです。


※健都からお借りました。

まとめ

「北摂エリア」も、「阪神間」同様とても住み心地の良い街であることが、特徴だけを見てもよく分かります。
「北摂」でも「阪神間」でも、エリアを指す場合、どの市を選んで家を建てるかという事も非常に重要です。

最後になりましたが「北摂エリア」の少し面白い特徴として、隣り合う自治体とのライバル意識が強いことでも有名です。
自分たちの自治体の方がより良い!という点を競いあっているのが、その地で暮らす人達が実際に感じている「暮らしやすさ」の証明のような気がします。
「北摂エリア」はどの市も多くの魅力で溢れているので、自分たちの暮らしに合う自治体はどこかをじっくりと考えてくださいね。

どの市にするのがいいか、悩んで決められない時は各自治体の施設に遊びに行くのもおすすめです。 少し歩くだけでも緑豊かで心地の良い道が続く「北摂エリア」は、ぜひ何度も足を運んで好きと思える街を探してほしいエリアです。

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