阪神間ってどのエリアを言うの?
2021/11/03 |阪神間で木の家を建てているいなほ工務店です。
「阪神間で~」とご挨拶をしておりますが、阪神間という言葉。
よく耳にされるかと思うのですがどの市町村が含まれているかご存じでしょうか。
今回のコラムでは、「阪神間」に含まれるエリアと「阪神間」という言葉はいつ生まれたかなど。
関西でも人気の居住エリアである「阪神間」についてお伝えさせていただきます。
旧松下幸之助邸 光雲荘(こううんそう)
神戸のタウン誌月間神戸っ子からお借りしました/提供パナソニック株式会社
そもそも「阪神間」っていつ生まれたの?
大正時代、郊外の住宅地として「阪神エリア」は誕生しました。
遡ること19世紀末、大阪は東京をも上回る日本最大の商業都市であり、神戸も東洋最大の港湾都市として成長している時代でした。
そんな19世紀末・明治期以降、大阪や神戸で成功した財界人が屋敷や別荘を構えたのが、西宮から神戸にかけてのエリアだったのです。
大正に入ると、財界人だけにとどまらず、大卒のエリートといわれるサラリーマンの住宅地としても発展し、文化的にも経済的にも、居住エリアとしての環境が整いました。
暮らしやすい環境となれば、人々はますます移り住んでくるもので、財界人・エリートサラリーマンに続き、芸術家や文化人などが居を構えたのです。
東京大空襲によって、阪神間へと転居してきた谷崎潤一郎もその一人で、「阪神見聞録」も有名ですね。
多くの財界人や文化人・文豪が環境の良い阪神間に移り住んだ結果、こだわりの邸宅が次々建てられ、独自の文化を形成し今の「おしゃれ」と言われるハイセンスな街並み「阪神エリア」が出来上がったという事です。
「阪神モダニズム」ともいうそうで、リニューアルされ様相が変わってしまいましたが、以前の阪急百貨店前の雰囲気も、「阪神モダニズム」の流れをくんでいたそうです。
『建築と社会』第15巻第2号 昭和7年よりお借りしました、竣工当時の阪急梅田駅コンコース
阪神間に含まれる市町村は?
兵庫県の地域区分では、芦屋市・西宮市・尼崎の3市を阪神南県民センター。
芦屋川と街並み
阪急電車と宝塚大劇場
ん?神戸は入っていないの???と思われますよね。
そうなんです、実は言葉の意味だけで考えた場合、「阪神間」とは、神戸市と大阪市の間を示しているため、神戸市は含まれないのです。
「阪神間」ではなく、「阪神」になると、神戸市も大阪市も含まれ、いわゆる、「阪神」工業地帯のように表されます。
言葉の定義としての「阪神間」は、尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・川辺郡猪名川町となるのです。
居住エリアとしての阪神間
そもそも、居住エリアとして発展していった「阪神間」を言葉の定義だけでとらえるのはおかしな話ですよね。
そのため、居住エリアとして「阪神間」を指す場合、神戸市も含まれますが、神戸市の中でも特に、東灘区と灘区の2区を指す場合も多くあります。
六甲アイランド リバーモール
居住エリアとしての「阪神間」には、狭義・広義で使い分けられていることもあるので、どこの範囲を言っているのか、それぞれ注意が必要です。
ちなみに、
狭義でいう「阪神間」は、西宮市、芦屋市、東灘区、灘区。
広義でいう「阪神間」は、西宮市、芦屋市、東灘区、灘区に尼崎市と伊丹市を含めたエリアを言う事もあります。
もっと広い範囲で「阪神間」のエリアを表すことも多々あり、その場合は、先にお伝えしました言葉としての定義の「阪神間」に、神戸市を加えた、8市1町を示しています。
但し、「阪神間」をどれだけ広い範囲で考えても、大阪市が含まれることは無いのも「阪神間」の特徴の1つです。
「阪神間」はあくまで、兵庫県の中の、神戸と大阪の間という事ですね。
居住エリアとしての阪神間の特徴として下記があります。
1:海と山に挟まれていて利便性と自然の豊かさが共存している
2:エリア全体が南向きの緩やかな斜面である
3:阪急・JR・阪神の3路線が走っている
1の特徴である、海と山に挟まれてというのは、まさに神戸市そのものですし、利便性と自然の豊かさが共存しているというのも、その通りです。 エリア全体が南向きの穏やかな斜面・・・六甲山を思い浮かべると、穏やか?とは思いますが、エリア全体が南向きではありますし、阪急・JR・阪神の3路線もしっかり走っているので、やはり「阪神間」に神戸市を加えないというのはあり得ない話であることがよく分かります。
阪神間はなぜ人気なの?
阪神間がとても人気のエリアであるのはとても有名なことで、関西版住みたいまちランキングの1位が西宮北口(阪急神戸線)、3位が神戸三宮(阪急神戸線)、6位に夙川(阪急神戸線)、8位に岡本(阪急神戸線)~と続きます。
ベストテンに4駅も入っているのが阪神間ですが、その理由はとても簡単です。
2021年住みたいまちランキング1位の西宮北口駅
阪神間はどのエリアでも大阪都心部への通勤圏にあり、非常に利便性に優れているエリアなのです。
その上、自然や緑も多く、治安・教育環境も良いと言われてていることから、多くの人が暮らす場所としての希望条件がほぼ全て揃っているのも大きな特徴です。
「阪神間」は大正時代から続く人気のエリアですが、時代と共に少しずつ人気の場所が変わってきています。
現在1位の西宮北口は、最近大人気の条件である「フラットアクセス」が非常に整っていることが特徴です。
バブル期に非常に人気の高かった「苦楽園」や「甲陽園」と比べて、周辺にほとんど高低差が無いことからも、人気が増していることがよく分かります。
まとめ
「阪神間」は、住み心地の良い街であると同時に、非常に多くの有名建築物が立ち並んでいる街とても有名です。
土地から家づくりを考えた始めると、どこに住みたいのかまず悩みます。
そんな時には、市町村名だけでなく「阪神間」のようなエリア名から、住みたい場所を探してみるのも一つの方法です。
利便性や価格、治安、教育環境と共に、ずっと暮らしていく街並みはどんな街並みが良いか考えてみる。
それも、インターネットで見るだけでなく、有名建築物を実際に見てみたり、山や海や川などの自然環境に触れてみたり。
芸術家や文豪の愛した場所に訪れてみるのも一つの方法かと思います。
これからますます長期優良住宅が推進され、生涯暮らす場所となる我が家。
どこに建てて、家族で暮らし続けたいのか考える際には、素敵な街並みと歴史がある「阪神間」を広く見てみるのもおすすめですよ。
旧谷崎潤一郎邸
第二次世界大戦以前からの歴史を持つ白鶴美術館
明治15年建築今津小学校六角堂(現在は、建て替えのため敷地内に移築して保存されています)
神戸北野異人館街