完成見学会レポート
2025/03/20 | 家づくりのこと TOPICSこんにちは、地元の材を使用して家を建てるのが大好きないなほ工務店です。
今回のコラムでは、先日満員御礼で終了した完成見学会の様子をお届けいたします。
イベント概要
日程|2025年2月15(土)・16日(日)
時間|10時~17時 完全予約制
場所|猪名川町伏見台2丁目
今回の完成見学会の会場は、以前構造見学会を開催させていただいた、猪名川町のお家です。
当日は前回の構造見学会と同じく、小雨が降ったり止んだりと、気温よりも寒さを感じる日となりました。
それでも多くの方にご来場していただくことができ、弊社の断熱性能をご体感いただけたこと、とても感謝いたします。
見学会場として快くお貸しくださいましたお施主さん、ご来場くださった皆様、まことにありがとうございました。
多くの方にご覧いただきましたお家は、無事「わんちゃんと暮らしやすい家」として完成いたしました。
構造見学会のコラムでは、プランや構造材、断熱についてお伝えさせていただきましたので、今回の完成見学会レポートでは、心地よく暮らすための目に見える工夫について1つずつお伝えいたします。
1:最大の目的である「わんちゃんと暮らしやすい家」の工夫
1-1:床材
多くの方が驚いてくださったフローリング材が上記写真になります。
加工して少し陰影を濃くしたのですが、よく分からないという方は、写真の下の方をじっくりご覧いただけると幸いです。
フローリング材に滑らかさが少なく、木目が目立っている気がしませんか?
理由は、わんちゃんが極力滑らないようにするために、フローリングにうずくりの材を採用したからです。
うずくり(浮造り)とは、木材の表面を削って木目の凹凸を浮き立たせる、日本の伝統的な加飾技法です。
神社、寺などによく使われている技法ですが、今回こちらのお家で使用させていただいたのは、うずくりの凸凹した表面が、わんちゃんが動く際のすべり止めとして機能するからです。
犬は爪を地面に食い込ませ、地面を蹴ることで走れます。
その為、爪を食い込ませて走ることができない床での生活は、踏ん張りながら歩いたり走ったりする必要があるために、足腰に強い負担がかかると言われています。
この床なら爪がしっかり食い込み、体を安定させてくれるので、お施主さんもわんちゃんも安心して暮らしていただくことが可能なことから、この床材が採用されました。
犬だけではなく、猫を飼われている方にもとてもおすすめの床材です。
完成見学会が終了したため実際の床をご覧いただくことは出来ませんが、事務所にサンプルがありますので、気になる方は是非一度ご覧くださいね。
1-2キッチンゲートの造作
わんちゃんにとって、キッチンはとても危険な場所です。
キッチン道具も、沸かしているお湯も、私たちが食べている食品だって物によっては毒になります。
その為、いくつも思い浮かぶ危険を事前に回避するべく、キッチンゲートを造作させていただきました。
シンプルなキッチンゲートは、ゲートを閉めている時も、開けている時も違和感がなく、とても美しい仕上がりになりました。
これで、わんちゃんがキッチンに入ってしまうことが防げるので、とても安心して暮らしていただけます。
近年人気のキッチンゲートは、お子さん対策の他、ペット対策としてもご相談いただくことが増えていますが、キッチンゲートと一言で言っても用途によって実は違います。
また詳しくは、別のコラムで書かせていただきますが、写真に写っているのは、ワンちゃんの安全対策用のキッチンゲートとなります。
ネコちゃんの場合、この形ですと簡単に飛び越えられてしまうので、別の工夫やそもそもこの形のキッチンでは、ゲートの意味がないということもあります・・・。
何を作るにしても、どう暮らしたいか、大切な存在は何かというところから計画することが重要だからこそ、お家づくりを依頼する会社選びはデザインや性能と共に、しっかりと思いが伝えられる会社かどうかという点も重視していただきたいと思います。
1-3:ウッドデッキをスロープに
わんちゃんが幸せを感じるお家をイメージしたとき、最初に思い浮かぶのは思いっきり走り回ることができる広いお庭ではないでしょうか。
自宅にドッグランのある暮らしは、全わんちゃん愛好家のあこがれだと思います。
そこで今回のお家では、広いお庭はもちろん、お庭に安心して出ていけるスロープ付きのウッドデッキを造作させていただきました。
スロープは緩やかな傾斜と、爪が引っかかりやすい材を採用しているので、うずくりのフローリング同様わんちゃんが安心して庭に下りられる仕様になっています。
今もこれからも、わんちゃんにはずっと庭を楽しく駆け回って欲しいというお施主さんの強い想いがこもった形です。
2:好きなものに囲まれて暮らす
2-1:好きなものを集める
今回のお家には、お施主さんが持ち込まれたものが多くあります。
京都のお店で購入された欄間や、キッチンカウンター、玄関の取っ手などがそれに当たります。
家を建てる際内装に使用する物や設備は、カタログから選ぶ、ショールームに展示されている中から選ぶというイメージを持たれる方が多くいらっしゃいます。
確かに、設備はショールームで実際のものを見て触られた上で決められた方が良いとは思いますが、内装に使う道具は違います。
例えば以前弊社で建てさせていただいたお家の例で、ご実家のガラスを持ち込まれた方がいらっしゃいました。
思い出の古いガラスを大切に使い続けたいとの思いからのご依頼です。
とても素晴らしい想いなのですが、高断熱高気密住宅は窓やガラスの選び方が重要なため、窓としては使用できません。
そこで、建具の一部として再利用させていただく提案をさせてもらったことがありました。
家づくりの際には、好きなものの使用を諦める前に一言聞いてみることを強くお勧めいたします!
2-2:畳にこだわる
こちらのお家は平屋のプランですが、吹き抜けの一部にロフトを作らせていただきました。
まるで秘密基地のようなロフトは、い草の香りが心地いい畳敷きの空間となっています。
畳に使用されているい草は現在、約70%が中国製だと言われています。 その他にも、手入れのしやすいポリエステル製なども増え、国産のい草を使用した畳は非常に少なくなっているのが現状です。
そんな中こちらのお家では、地元の畳屋さんを経由して熊本県産のい草を用いた畳を貼らせていただきました。
熊本産のい草は、長さが長く、太さが均一で色が良いのが特徴です。
実は畳に使用するい草は、長いものほど美しい畳表が仕上がると言われており、国産のい草では熊本県が90%のシェアを誇っているほど、熊本県は素晴らしいい草の産地なのです。
他にも、国産のい草はシックハウスの原因と言われる「ホルムアルデヒド」や「二酸化窒素」の吸着に優れており、い草特有のスポンジ構造により調湿効果も抜群です。
その上、畳の香りには以前コラムでお伝えしました「フィトンチッド」が豊富に含まれているので、自宅の床に寝ころびながら森林浴ができるという効果もあるのです。
最近は、フローリングのみのお家も増えていますが、畳のお部屋が一つあるだけでも、お家全体の香りや効果が変わるので気になる方はぜひ畳敷きのお部屋を導入されることもご検討くださいね、
3:快適に暮らす
構造見学会のコラムでもお伝えさせていただいた通り、こちらのお家の建つエリアは6地域に建っていても山が近く冬場はかなり冷えることを考慮した断熱を行っています。
その上で、床下エアコンとペレットストーブを導入することで、冬の寒さ対策を万全にしました。
温度の変化が少なく、冬寒くないというのは、人だけでなくわんちゃんにとってもとても過ごしやすく、体への負担が減ることで長生きできると言われています。
温度は目に見えないため、どうこだわればいいのか分からない方がおおくいらっしゃいます。
でも、実は温度に関する判断はとても簡単なのです。
気になる会社の見学会(構造見学会を除く)かモデルハウスを訪れて、自分が心地いいと思うかどうかを判断してください。
その際、心地いいと思う温度は人によって違うということを忘れずに、数値だけを頼りにするのではなく、自分の体の声を聞いてあげてくださいね。
まとめ
私たちは、家を建てるために「庭の木を一本残したい」「思い出の品や一目ぼれで買ったものを使いたい」という願いを、諦める必要はないと考えています。
確かに、すべてを壊して新しくした方が簡単です。でも、その過程で大切な思い出が途絶えてしまうのは、あまりにも惜しいことです。
地元の木や職人、雇用を大切にするように、お施主様の思い出やお気に入りのものを取りこぼさない家づくりを心がけています。
もちろん、どうしてもできないことはあります。
例えば、家の建て替えの際に立派な木が育っている場所に家を建てたい場合、木と家を同じ位置に配置することはできないため、木を移動させるか家を建てる場所を少しずらすか、どちらかお選びいただくことになりますから。
そして、こうした考えを持っている会社は、私たちだけではありません。
もし気になる会社があり、新しい家で使いたい思い出の品や集めてきたものがある場合は、ぜひ相談時に伝えてみてください。
私たちと同じような考えを持つ会社であれば、お施主様の思いを汲んだ形でプランを提案してくれるはずです。
今回の完成見学会のように、等身大のお家を見学させていただくと、そこで暮らすご家族様ならではのこだわりや、大切にしている思いに直に触れることができます。
その上で、お施主様の思いが反映されているということは、それだけお施主様とハウスメーカーや工務店が打ち合わせを重ねて家を建てた証に他なりません。
完成見学会で「あれ?これちょっと変わってるな」と思うことがありましたら、是非その場にいるスタッフにお声がけください。
どんな答えが返ってくるかは分かりませんが、きっと建てようと考えている会社の考え方が見えてきますから。