補助金をうまく活用して家づくりを行おう!(2022年度・新築住宅版)

2022/07/09 | お金のこと TOPICS

いつも、弊社のコラムを読んでくださりありがとうございます。
今回のコラムでは、昨年度より大きく変わった、新築住宅の取得時に、一定の条件を満たすことで受け取れる補助金についてお伝えいたします。

昨年度も同内容にてコラムを書かせていただきましたが、今年度は補助金の種類が大幅に変わりましたので、昨年も読んでくださった方もこれから家を建てようという方はぜひ目を通してくださいね。

まず第一に大きく変わった点として、昨年度まで実施されていた、消費税増税に伴った補助金「すまい給付金」が終了しました。
これは、すまい給付金が終了したことで、消費税増税の影響で住宅取得時に余分にかかるようになった消費税の補助がなくなったという事です。
そして住まい給付金だけでなく、他の補助金も終了しました。
・・・このことだけをお伝えすると、非常に大きなダメージを受ける印象ですが、もちろん今年度新たに設けられた補助金制度がいくつかありますのでご安心ください。

ポイントとして、今年度から設けられた補助金については、すべて共通点があります。
それは、未来やこれからの地球環境を見据えた補助金であるという事。
世界で目指す脱炭素社会実現のために、高性能な住宅(ZEH住宅や、高気密高断熱住宅など)を建てる場合補助金が支給されます。
※細かな対象制限があります。

せっかく建てる家、住宅購入は出費がかさむため、対象者である場合はぜひ最大限活用ください。

それでは今回も、それぞれの補助金について大まかにお伝えさせていただきます。

新築住宅購入で利用できる補助金

補助金制度の中には、工事が着工した後には申請できないものや、先着順のものなど様々です。
「期限はいつまでか」「自宅は要件を満たしているのか」等をしっかりと確認し、時間に余裕をもって申請準備を行いましょう。

新築住宅購入時に利用できる補助金制度は、以下の5つ(※2022年4月時点)が対象です。

リフォームや介護改修に関する補助金など、住まいに関する補助金は数多くあるので、新築住宅購入時は下記の6つをしっかり調べてください。
対象外のものに時間を使うのはもったいないので注意してくださいね。

  • 新設:こどもみらい住宅支援事業
  • 大幅変更:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
  • 令和3年度6月より新設:DER補助金
  • 地域型住宅グリーン化事業
  • 自治体の補助金制度

それでは、補助金制度の内容や給付条件や、もらえる補助金の額について詳しくご説明いたします。

新設:こどもみらい住宅支援事業

受け取れる金額は最大100万円

こどもみらい住宅支援事業は、子育て支援と2050年の実現を目指す、カーボンニュートラルを目的に、2022年度新設された事業です。

対象となるのは、「こどもみらい住宅事業者」と工事請負契約を締結し、なおかつ、省エネ性能や床面積などの条件を満たす住宅を新築する、「18歳以下の子を持つ子育て世帯」や「夫婦どちらかが39歳以下である若者夫婦世帯」です。

こどもみらい住宅事業者は、住宅を新たに建てる方に代わって、交付申請手続きを行い、交付を受けた補助金を、新たに建てる方に還元する事業者として、事前の登録した住宅事業者のことを指します。
登録されていない事業者で住宅を建てた場合、条件にいくら当てはまっても認められませんのでご注意ください。

こどもみらい住宅支援事業の補助金は、新築する住宅の性能によって異なります。

ZEH住宅100万円
高い省エネ性能等を有する住宅80万円
一定の省エネ性能等を有する住宅60万円

この他にも、

●建築主自らが居住している
●住宅の床面積が50㎡以上
●土砂災害防止法に基づく、土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
●未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
●2021年11月26日以降に工事請負契約を締結し、2022年(令和4年)10月31日までに基礎工事が完了している

という条件があり、全て満たしている必要があります。

こどもみらい住宅支援事業対象者条件

  • 1-1:2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯
  • 1-2:申請時点において夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降に生まれの世帯
  • 2:こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方

※1-1、または1-2どちらかの条件に当てはまり、かつ2を満たす必要があります。

申請者

  • 登録事業者

補助金の受け取り方法

  • 補助金は登録事業者に振り込まれます。 建築代金の最終支払いの一部に充てることで、住宅取得者に還元されます。 住宅取得者の口座に振り込まれると勘違いされやすいので気を付けてください。

「こどもみらい住宅支援事業」についてはこちらで案内されています。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金

補助される金額は上限60万~112万円(その他条件で加算あり)

昨年に引き続き行われる、国の基準を満たしている「ZEH住宅(ゼロエネルギー住宅)」を建てることで、補助金が受け取れる制度です。

ZEH補助金は名前に変わりはありませんが、昨年までとは少し内容が変わりました。
住宅のZEHレベルが3段階に分けられ、それぞれ条件が異なります。

1:ZEH補助金


※画像は、事業概要パンフレットよりお借りしました。

補助される金額は1戸55万円または、100万円(その他条件で加算あり)

ZEH補助金の中でも対象は2つに分かれるのが、今年のZEH補助金の特徴です。
文章にするとかなり分かりにくいので、それぞれ表にまとめさせていただきますね。

対象住宅「ZEH」:補助金額55万円+α

対象住宅 ZEH住宅
Nearly ZEH(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
ZEH Oriented(都市部狭小地の二階建て以上及び多雪地域に限る)
交付要件 ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしている住宅であること
補助額 55万円
加算 補助対象住宅に定置型の蓄電システムを導入する場合、2万円/kWh。
補助対象経費の1/3または、20万円のいずれか低い額が加算されます。

対象住宅「ZEH+」:補助金額100万円


※画像は、事業概要パンフレットよりお借りしました。

対象住宅 ZEH+
Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
交付要件 ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしている住宅であることかつ、
Ⅰ.更なる省エネルギーの実現
(省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減)
Ⅱ.以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入すること
1.外皮性能の更なる強化
2.高度エネルギーマネジメント
3.電気自動車(PHV車を含む)を活用した
 自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備
補助額 100万円
加算 1:補助対象住宅に定置型の蓄電システムを導入する場合、2万円/kWh。
補助対象経費の1/3または、20万円のいずれか低い額が加算されます。
・直交集成板(CLT):90万円/戸
・地中熱ヒートポンプ・システム:90万円/戸
・PVTシステム: 【液体式】65万円/戸もしくは80万円/戸
【空気式】90万円/戸 ・液体集熱式太陽熱利用温水システム: 12万円/戸もしくは15万円/戸

2:次世代ZEH+(注文住宅)補助金


※画像は、事業概要パンフレットよりお借りしました。

補助される金額は1戸100万円(その他条件で加算あり)

ZEH+(注文住宅)補助金は、ZEH+の新築住宅を建築する個人が対象となっています。 ZEH補助金は、建築する方も、購入する方も対象でしたが、こちらの補助金は建てられる方に限っているのが特徴です。
こちらも表にまとめさせていただきますね。

対象住宅 『ZEH+』
Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
交付要件

「ZEH+に係る要件」を満たしていること且つ、
以下のいずれか1つ以上を導入すること

1.蓄電システム
2.V2H充電設備(充放電設備)
3.燃料電池
4.太陽熱利用温水システム
5.太陽光発電システム10kW以上
補助額 100万円
加算 蓄電システム(定置型):2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額が加算されます。
・燃料電池:2万円/台
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い金額を加算
・太陽熱利用温水システム:【液体式】17万円/戸、【空気式】60万円/戸

3:次世代HEMS補助金


※画像は、事業概要パンフレットよりお借りしました。

補助される金額は1戸112万円(その他条件で加算あり)

次世代HEMS補助金は、ZEH+(注文住宅)と同じく、新築住宅を建てられる方が対象となっています。
こちらも表にまとめさせていただきますね。

対象住宅 『ZEH+』
Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
交付要件

①「ZEH+に係る要件」を満たし、且つ、蓄電システム又はV2H充電設備(充放電設備)のいずれかを導入すること
②更に、蓄電システム、V2H充電設備(充放電設備)、燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入することも可とする
③太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量を更に拡大することを目的に、AI・IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備えていること

補助額 112万円
加算 蓄電システム(定置型):2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額が加算されます。
・燃料電池:2万円/台
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い金額を加算
・太陽熱利用温水システム:【液体式】17万円/戸、【空気式】60万円/戸

今年度から細分化されたZEH補助金ですが、やはり基準となるのは「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つのポイントです、1つでもかけた場合はZEH住宅にはならないので注意が必要です。 その上で、どのような性能を更に持たせていくかという事で、補助金額が変わるとご理解ください。

ちなみに、昨年までのZEH補助金は【先着順】となっていましたが、今年は少しややこしくなりました。

先着順 ZEH補助金・次世代ZEH+(注文住宅)
事前割当方式 次世代HEMS補助金

上記表のとおり、ZEH補助金・次世代ZEH+(注文住宅)は、先着順。
次世代HEMS補助金は、事前割当方式と言って、ZEHビルダー/プランナーからの提案応募に基づき設定された補助対象件数の上限枠内で応募可能となります。
先着順であっても、事前割当方式であっても、公募期間中に応募するのはもちろんのこと、公募期間中であっても予算の上限に達し次第終了となってしまうことがあるので、十分な注意が必要です。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金対象者条件

  • ZEH補助金:ZEH住宅または、ZEH+住宅を建てるまたは購入したもの
  • 次世代ZEH+(注文住宅)補助金:ZEH+を建てるかつ、定められたシステムを1つ以上導入した住宅
  • 次世代HEMS補助金:ZEH+を建てるかつ、蓄電システムまたは充電設備を導入し、Al・IoT技術等による最適制御システムを備えた住宅
  • ZEH補助金・次世代ZEH+(注文住宅)・次世代HEMS補助金共に、建築業者が、事前登録された事業者であること。

補助金の受け取り方法

  • 施工会社を通して工事費の一部として還元

ZEH補助金を増やす方法

  • 家庭用蓄電池や太陽熱利用温水システム、停電自立型燃料電池を導入

申請についての注意点

  • 先着順(予算に達した場合、期限でなくとも終了する)/事前割当方式(建築会社に相談が必要です)

一般社団法人 環境共創イニシアチブ「ZEH支援事業公募情報」についてはこちらで案内されています。

DER補助金

補助される金額は最大75万円(設置する設備によって変わる)

DER補助金は、新築住宅が対象というのではなく、既に太陽光発電が設置済み、または太陽光発電と同時に蓄電池を設置される方が対象です。
他の補助金とは少し違いますが、新築時に計算に入れておくことで、住宅性能を補助金を利用してアップすることが可能だというメリットがあります。

「太陽光発電システム」「蓄電池」「HEMS」の3点セットが揃っていることが、補助金申請の絶対条件になるので、どれか一つだけ・・・というわけではありませんからご注意ください。

合わせて非常に重要な点として、
1:DER補助金は交付決定後の契約であること。
2:2022年12月23日までに、蓄電池の工事完了+電力会社の認定・運転完了していること。
3:実証実験への協力、報告書の提出が必須。

になります。
どれか1つでも欠けた場合、補助金は認められませんので、ご注意ください。

昨年度(令和3年度)から始まったDER補助金ですが、わずか数か月で予算に達したため昨年は早々に終了しました。
今年度も申込みが殺到することが予想されています。
合わせて、コロナの影響及び、不安定な世界情勢の影響で半導体不足が叫ばれる昨今、人気製品の納期が遅れ申請期日に間に合わないという事態も発生しています。
工事は数日~1週間程度で完了する工事がほとんどだと思いますが、電力会社への設備認定の申請なども含め数か月の余裕を見たほうが安心出るかと思います。

対象機器(家庭用) 費用区分 補助率 補助金額上限
蓄電池システム 設備費・工事費 1/3以内 初期実効容量4万円/kWh
V2H充放電設備 設備費 1/2以内 1台75万円
工事費 定額 1台40万円
家庭用燃料電池
(エネファーム)
設備費・工事費 一律 1台5万円
IoT関連機器
(HEMS機器を含める)
1/2以内 1台10万円

早めに準備することをおすすめしますが・・・DER補助金の申請期間は、2022年6月1日~2022年12月23日です。
コラム公開日にはまだ申請開始していないので、対象の方は、申請開始後に忘れず申請してくださいね。

一般社団法人 環境創成イニシアチブ「DER補助金」についてはこちらのサイトにて案内されます。

DER補助金対象者条件

  • 太陽光発電が設置済み、または太陽光発電と同時に蓄電池を設置される方

公募期間

  • 2022年6月1日~2022年12月23日

交付決定までの期間

  • 交付申請から約1週間~3週間

補助金額

  • 家庭用蓄電池:3.7万円/kWh
  • V2H充放電設備:75万円/台

ZEH補助金、DER補助金についての注意点

大前提として、1つの工事に対して国(各省庁)が管轄している補助金同士の併用はできません
ZEH補助金(環境省・経産省)と、DER補助金(経産省)ももちろん併用ができません。
しかし、国と地方自治体(都道府県・市町村)の補助金は併用ができます。

各自治体ごとに、蓄電池の購入時にもらえる補助金があります。
この補助金は各自治体によって金額や申請期間など異なりますが、大体は4月~6月に補助金の内容が公開・募集されはじめた後、先着順で締め切られます。
蓄電池の設置を計画中の方は、ぜひ自治体の補助金についても調べてみてくださいね。

地域型住宅グリーン化事業

令和4年度も行われると確定しておりますが、細かな内容は2022年4月現在発表されておりません。
下記は、令和3年度の内容となりますが、ほぼ変わりはないのではないかと予想されています。
現状は令和3年度の内容を掲載しておきますが、詳細が分かり次第こちらの内容を変更させていただきます。

補助される金額は上限110万~150万円(その他条件で加算あり)

いなほ工務店が得意としている住宅が対象の地域型住宅グリーン化事業。
地域型住宅グリーン化事業は、新築住宅ならすべて対象なわけではありません。

省エネルギー性能や、耐久性に優れる住宅を建てた中小工務店に対して、建築費用の一部が補助される制度です。 地域型住宅グリーン化事業の補助を受けるには、中小工務店は国土交通省の採択を受けている必要があります。

この【採択を受けている】施工会社に建築を依頼し、一定レベル(断熱性能・耐震性能など)を満たした木造住宅を建てることで、110万円~150万円※の補助金が支払われます。
※最大金額は、施工実績が乏しい(施工実績3戸以下)中小工務店で木造戸建てZEH住宅を建てる必要があります。

追加として、住宅の半分以上で地元でとれた「地域材」を使用した場合、上限20万円の補助金が加算されます。
三世代同居対応住宅の要件を満たした場合は、上限30万円の補助金が加算されます。

申請を行うのは工務店であり、住宅の取得者(施主さん)は、工務店を通して補助金が還元される(補助金分の値引き)仕組みです。

地域型住宅グリーン化事業は、新年度ごとに必ず使えるとは限らない制度です。
新築住宅を建てる際には、「今年度はどうかな?」と思いながら調べてくださいね。

地域型住宅グリーン化事業対象者条件

  • 住宅の建築を国土交通省の採択を受けた施工会社に依頼
  • 一定レベル以上の木造住宅

補助金の受け取り方法

  • 施工会社を通して工事費の一部として還元

地域型住宅グリーン化事業補助金を増やす方法

  • 住宅の半分以上で地元でとれた「地域材」を使用
  • 三世代同居対応住宅の要件を満たした場合

「地域型住宅グリーン化事業」についてはこちらで案内されています。

各自治体独自の補助金制度

自治体ごとに、国とは別の補助金制度を設けている場合があります。
建築場所がすでに決まっている方は、都道府県や市町村の公式ホームページから自治体が実施している補助金制度を確認してみてください。

弊社のある兵庫県では、2022年度も「空き家活用支援事業」という補助金があります。
一戸建ての住宅の空き家や共同住宅の空き住戸を住宅、事業所又は地域交流拠点として改修する際、改修工事費の一部を助成します。というものです。

空き家活用支援事業は、中古住宅を購入しリノベーションをすることで活用できる面白いものです。
国が目指す持続化社会、サスティナブルな社会の実現にも効果的な取り組みです。

各自治体独自の補助金は、こっそり始まってこっそり終わることが多いので、居住地が決まった方は「居住地名」+「補助金」+「新築やリフォーム」などで検索されることをおススメします。

兵庫県:空き家活用支援事業についてはコチラをご覧ください

まとめ

住宅購入の際に利用できる補助金は5種類とお伝えいたしましたが、実際に使えるかどうかとなると条件やタイミングなど厳しい場合もあります。
家づくりを考える際には、「補助金」のことを頭に入れつつ、無理のない「資金計画」を忘れないでくださいね。
そして、丁寧な家づくりを行っている会社は「補助金」「資金計画」をしっかり考えています。
この会社どうかな?と思ったときには、先に紹介した「補助金」が使用できるか、「補助金があるから」と言って無理な「資金計画」を進めようとしないかしっかりチェックしてください。

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