電気料金の値上げと性能

2021/11/20 | お金のこと TOPICS

今年は木材の高騰(ウッドショック)から始まり、コーヒーや乳製品、小麦などの値上げが叫ばれましたが、ついにニュースで、電気・ガスの大幅値上げが連日話題になるようになりました。
電気代・ガスの値上げは、複合的な要因がありますが、原因の1つはウッドショックやコーヒーや小麦の値上げと同様、コロナ禍での需要増により、天然ガスなどの燃料価格が上昇したためと言われています

値上げと一方的に言われるだけで、どう対処することもできないのが電気代やガス代というエネルギー費。
できることと言えば使用量を減らすことでしょうか。
これから先も、常に値上げがついて回ると言われているエネルギー費について、今回のコラムでは、電気代の値上げと住宅性能に関してお伝えいたします。

電気・ガス代が15%値上げ?

実は今年に入ってから、毎月じわじわと値上がっていた電気料金。
全国ネットのニュースで流れるのは基本的に、東京電力を基にしています。そのため、東京電力では1月と比べ11月は約15%の値上げになると報道されていますが、関西では下記のようになっています。

一般的な家庭を基に算出された電気料金の値上げ幅(関西電力)

※従量電灯Aの平均的なモデルの影響額

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
6,355円 6,357円 6,409円 6,490円 6,680円 6,724円 6,745円 6,740円 6,826円 6,916円 7,007円

関西では、今年の1月と比べて11月は電気料金が650円以上、10%強値上がります。
10%、100円未満と言われると大した金額には感じないかもしれませんが、毎月約100円弱ずつ値上がっていくのは、必要不可欠なものであるため家計への影響は必至ですよね。

特に在宅時間の増えたコロナ禍では、エアコンの使用量が特に増え、電気代の負担が家計へ重くのしかかることになります。

電気料金って実は毎月変わっているのをご存じですか?

先ほど、今年一年の値上げについてお伝えしましたが、実は電気料金は「貿易統計に基づき平均燃料価格を算定した結果、電気料金の燃料費調整」を行い、対象月の2か月前に次の電気料金が発表されています。
例えば、2021年11月から上がると騒がれている電気代は、9月にプレスリリースされています。

そこで、関西電力のHPで発表されている、過去の電気料金から10年分の1月の電気料金をご紹介させていただきます。

2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年
6,355円 6,806円 6,886円 6,716円 6,405円 7,983円 8,070円 7,610円 6,772円 6,715円 6,403円

上記表で分かるように、2021年1月の電気代は過去10年間の1月の電気代としては一番安かったのです。
そして、2021年11月の電気代は、過去10年間の中でも上から3番目に該当する金額まで上がりました。

今年は近年類を見ないスピードで電気料金が上がり、下がる要因があまり見込めないことからも、今後も上がっていくのではないかと懸念されています。

電気代は見えないランニングコスト

いつの間にかポストに入っている電気の「使用量表」。
電気を節約しなきゃと思いつつも、生活に絶対必要な電力はもちろん、寒さ暑さに耐えるのも厳しく、自宅にいる時間が増えるのと比例して電気の使用量は上がってしまいます。

よく冷蔵庫やエアコンといった家電を買い替えると、電気代の節約になると言われていますよね。
これは、冷蔵庫やエアコンの性能が上がったことで、10年近く古いものよりも、燃費が良くなることが理由です。

例えば冷蔵庫の場合、10年以上前のものと比べると、今の冷蔵庫は3分の1の電気代になるそうです。
性能の向上というのはすごいですよね。

性能の向上と言えば、住宅性能もその1つです。

1999年3月に、建設省により改正された日本の断熱化基準、通称「次世代省エネルギー基準」または「住宅の省エネルギー基準」で、先進国の中で最低だった日本の断熱基準が、欧米の最低レベルに達しました。
その後も幾度も改正され、断熱基準は少しずつ向上していますがまだまだ満足のいく基準とは言えません。

電化製品と同じく、家も性能次第で必要とするエネルギーは変わります。
冷蔵庫や照明のように分かりやすい電気消費ではありませんが、家の中で心地よく暮らすために必要不可欠な空調設備に必要なエネルギーを、家の消費エネルギーと言います。

硝子のコップに入れておいたお湯と、魔法瓶に入れておいたお湯。
1時間後のお湯の温度には大きな差が出てしまいますよね。
家も全く同じです。

断熱施工が行われておらず、隙間風がある家と、しっかりとした断熱施工がされサッシも断熱に強いものが取り付けられている家。
エアコンで、冷暖房した場合、どちらがより長く効果を発揮するか比べると、一目両全です。

これが、家の性能です。
もちろん、性能は耐震性能・耐風性能などもありますが、電気代に象徴されるエネルギー消費に関する性能は気密・断熱性能になります。

真冬に家を暖めようとした場合、隙間が多い家ではフルでエアコンを稼働させても暖かい空気は外に漏れてしまうためなかなか部屋は暖まりませんし、すぐに寒くなってしまいます。
逆に断熱性能の高い家の場合、エアコンが吐き出した暖かい空気が外に漏れにくく、冷たい空気も入ってきずらいため、エアコンをフルで稼働させる必要がありません。

その日、その時間のことだけなら少しの違いですが、冬中夏中、その家で暮らし続ける間中ずっとその差は続きます。
10年20年30年・・・それ以上の時間で計算した場合、住宅性能の違いで生まれる電気代を含めたエネルギー消費の差はとても大きくなっていきます。

高気密高断熱住宅の良さは、「快適に暮らせる」「健康に暮らせる」というのが大きなメリットですが、電気代がこの先どうなるか不透明な今。
「燃費が低い」「電気代が安い」というのも、とても大きく直接的なメリットです。
様々なものが値上がりを続ける昨今、家づくりを考えるなら、ランニングコストが抑えられる家を考えてみませんか?

今暮らす家でできる、電気代節約方法。窓に工夫をしよう。

11月から電気代が上がるように報道されていますが、実はすでに値上がり続けている電気代。
少しでも抑える為に今できることは、窓を工夫することです。

冬にエアコンを付けていても、どこからともなく感じるひやりとした寒さ。
原因は窓辺から外の冷気が伝わり、部屋の中の熱が逃げて行ってしまうためです。
窓は部屋の中で熱の出入りが一番多く、暖房で温められた空気の約50%は窓から逃げています。(普通のアルミサッシの場合)

断熱性の高い窓にリフォームしたり、二重窓を取り付けたりというのはなかなか困難ですし、費用も時間もかかってしまいますよね。

そこであまり費用をかけず、すぐにできる対策として2つお伝えいたします。

分厚いカーテンを取り付けよう

1つ目は、薄いカーテンをかけている場合は分厚いカーテンに交換することです。
カーテンはヒダの谷間に空気を抱えこむことで、窓と部屋の間に見えない壁を作り出し冷気を防いでくれるのです。

分厚いほど効果的ですし、裏地に遮光性のある生地を選ぶと更に効果が期待できますよ。
丈が短いと、床面から冷気が室内に入りやすくなるので、できる限り床面まで届く長さにしてください。


※このような掛け方は、下から冷たい空気が流れ込み床部分が更に寒くなるので注意が必要です。

断熱シートを貼ろう

2つ目は、窓ガラスに断熱シートを貼ることです。

断熱シートとは、窓ガラスと部屋の間にフィルムの層を作ることにより、外気を室内に伝えにくくする効果があります。
透明のフィルムや厚手で空気の入ったタイプがありますが、断熱効果が高いのは空気が入ったタイプです。(梱包材のプチプチのようなもの)

ガラス面に貼るよりは窓枠ごと貼るほうが、熱が伝わりやすいアルミサッシからの隙間風を防ぎます。が、窓枠ごと貼る場合は、窓の開け閉めが出来なくなってしまいますので、注意が必要です。

まとめ

世界の流れが再生可能エネルギー、ガソリンではなく電気で走る自動車へとシフトが切られ、電力不足が今後ますます懸念されると度々報道されています。
今後どうなっていくか不透明なものの1つが電気料金です。

家づくりの際には、耐震性能・耐風性能、心地いい暮らしや好きなものに囲まれる暮らしと共に、生きている限りずっと必要となる電気代もぜひ気にしてみてくださいね。

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