床下エアコンっていったい何?

2021/06/30 | 家づくりのこと TOPICS

弊社サイト内でも、施工事例やコラムなどで床下エアコンという言葉が頻出しています。
当たり前のように書いていますが、そもそも床下エアコンって何なんだ?と思いませんか?

家づくりを考えはじめたばかりで初めて聞いた場合、ビルトイン型エアコンのように、床下型のエアコンが売ってるの?床下ってどういう意味?となるのが一般的だと思います。

そこで今回は、検索しても技術的な話ばかりが出てくる「床下エアコン」について、どういう暮らしができるものなのかご紹介したいと思います。

そもそも床下エアコンってどんなエアコンなの?

床下エアコンは、弊社も参加している新住協で2010年頃から始まった床下空間を利用し、エアコンで床全体と室内を同時に空調するエアコンの設置方法を言います。
2012年頃から本格的に運用され始め、今も更なる改良を求め新住協でも研修会のテーマに上がっています。

床下エアコンの「エアコン」は、天井につけるビルトイン型エアコンのように専用のものがあるわけではなく、普通の壁付けエアコンを設置します。
家電量販店に行っても、「床下エアコン」という名前では売っていないのでご注意くださいね。

参考までですが、弊社が使用するエアコンは、当社の通常スペックだと6帖用から10帖用の家電屋さんで10万円を切る製品で十分性能を発揮してくれます。

床下エアコンってどういうものなの?

床下エアコンとは、基礎と地熱層を利用しながら、暖気を基礎全体にて蓄熱し、1階床に取り付けたガラリからの放射熱によって、家全体を温める仕組みです。


※床下エアコン冬のイメージ図。
暖かい空気は軽いため勝手に上に昇ります。

床下エアコンを設置するには、設計の構造段階からしっかりと検討し、風の通りを計算して基礎をつくる必要があります。
通常のエアコンのように、後になって設置したいと思っても無理なのが、普通のエアコンとは違う点です。


※ガラリはトイレや脱衣所にも設置します。

床下エアコン一台で夏も冬も一年中快適!と書かれていることもありますが、それはとても無理があります。

理由は、家の大きさや構造ではなく、暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に溜まるからです。
夏のエアコンは足元が冷えるのが難点・・・という当たり前の空気の構造が原因です。


※床下エアコン夏のイメージ図。
冷たい空気は重いため下に溜まり続けます。

床下に向けて冷気を吹く「床下エアコン」では、冷気が床下に溜まるだけで、家中を涼しくするのは難しいという点と合わせ、夏の暑い時期に家の基礎である床下を強く冷やすと、結露が発生する場合があります。
そのため弊社では、夏場の使用はお勧めしておらず、「床下エアコン」を切るようにお伝えしております。

床下エアコンは一年中ではなく、冬場に一台のエアコンだけで、家中(廊下やトイレ、脱衣所も含む)快適に過ごせる設備と考えていただくのが一番わかりやすいかと思います。

床下エアコンのある暮らし

1:家全体が暖かいのは体にいい

床下エアコンは、その名の通り床下から暖房することで足元からポカポカと暖かくなります。
その上、床暖房のように決まった範囲だけ暖かいのではなく、家全体が同じような暖かさになります。

ヒートショックという言葉をご存じでしょうか。

ヒートショックとは、家の中の「温度差」で血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることを言います。
ヒートショックによる正確な死亡数は現在発表されてはいませんが、入浴中の死亡者数が1万9千人。
平成30年の交通事故死亡者数3532人と比べてみても、あまりに大きな数字だと思います。

もちろん、入浴中の死亡ですからすべてがヒートショックなわけではありません。
転倒等の理由も含まれていますが、次に掲載させていただく東京都の平均気温と入浴中の死亡のグラフを見てみると、夏と冬の違いは歴然です。

気温が下がる冬場、入浴中の死亡数はその他の時期と比べ、何倍にもなっています。
このことからも、冬場の入浴事故には「温度差」が引き起こすヒートショックの影響が大きいと推測することができます。
床下エアコンなら、どの家にもあるエアコンで家中の室内温度をある程度一定に保つことができ、急激な温度変化による血圧上昇を抑えることが可能です。

2:省エネルギー(電気代が安くなる)で安定した暖房効果

床下エアコンは基礎日蓄熱し、その熱をゆっくり放射して家全体を暖める仕組みです。
従って床暖房やその他暖房器具のような即効性はありませんが、一旦蓄熱するととても暖かく、光熱費も床暖房やその他暖房器具と比べかなり抑えることが可能です。

冬場は通常、21℃前後の暖房運転にて家中暖かくなり、寒さの厳しい日でも室内の温度変化が緩いため、急激なエアコンの稼働を避けることができます。

もちろん、家中1台のエアコンで暖房できるので、家の中で何台ものエアコンや電気ストーブ、石油ストーブやガスストーブを使う必要もありません。
その差は歴然です。

3:エアコンだから操作も維持もとっても簡単

エアコン売り場に行けばいくらでも売っているエアコン(いくつかの条件はあります)なので、操作がとても簡単です。
エアコンの掃除の際も、床に設置しているので脚立に上る必要も一切ありません。

壊れた場合も特別な設備を使用しているわけではないので、簡単に取り換えが可能です。

4:床暖房と違い、床材の種類を選ばない

無垢のフローリング材が使用できる床暖房はほとんどありません。
その点、床下エアコンは床材を選ばないので好きな床材をお選びいただけます。

床下エアコンにデメリットは無いの?

床下エアコンで快適な暮らしがおくれるポイントばかりご紹介しましたが、床下エアコンにもデメリット?はあります。

第一に、しっかりとした断熱性能・気密性能が確保されている家でなくては意味がないという点です。

床下エアコンの効果を実感するためには、最低限Q値は1.7以下 C値は1.0以下である必要があります。(Q値、C値については後日説明させていただきます)
数値はこの通りでなくてはいけないというわけではなく、家を建てる土地の向きや環境にも左右されますが、大体これぐらいの数値の住宅性能でなければ効果はありません。

第二に、基礎断熱工法が必須になります。

基礎断熱では、床下空間も室内空間のひとつとして考えます。 基礎内部をぐるっと断熱材で覆う事で、床下からの熱を伝わりにくくし、床下空間を暖かく保つ工法です。

基礎内部と居室の空気は24時間365日行き来します。
そのため、土台や大引きなど、基礎木材の防腐処理にはホウ酸などの人体に無害のものを使用する必要があります。

第三に、床下エアコン用の白アリ対策が必要

床下エアコンを設置するには、基礎内部と居室の空気が24時間365日行き交う事を前提として、白アリ対策を行うことが重要になります。

弊社では、 1. 基礎を一体打ちにする
2. ホウ酸にて対策する
3. 土台を桧とし外壁通気を行い、柱を杉、桧等を使用する
等の対策を行っています。

第三として、リフォームでは設置することはできません。

先にもお伝えした通り、床下エアコンは設計の段階から十分な計算を行い、断熱性能、気密性能を確保した上で、風の通りを計算した基礎や土台をつくる必要があります。
あとになって、「つけたい!」と思っても、対応することはできません。

以上の理由から、床下エアコン自体にはさほど費用は掛かりませんが、住宅の性能を確保する必要があるためローコスト住宅では、床下エアコンを設置はできてもその効果は実感できないと言えます。

まとめ

床下エアコンはとても快適で、弊社でも多くのお家に設置させていただいております。
これができるのも、断熱気密は当たり前に施工してきたからです。

私たちが、心地の良い家として考えた1つの答えが、温度差のない暮らしです。

寒いと思いながら眠らなくていい。
寒いと思いながら起きなくていい。
寒いと思いながらトイレに行かなくていい。
各部屋で暖房器具をフル稼働しなくていい。
寒さ暑さを気にせず、様々なプランが考えられる。

こんな暮らし、快適だと思いませんか?
床下エアコンは快適な暮らしを実現するために施工しますが、施工の結果は以上の暮らしです。

床下エアコンについては色々難しいことも書かれていますが、まずはどんな暮らしを実現するための設備なのか、ぜひ知ってくださいね。

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