青森ヒバってどんな木なの?

2023/11/13 | 自然素材のこと TOPICS

こんにちは、いなほ工務店です。
弊社では先日とても嬉しいニュースがありました。
そのニュースとは10月13日にお知らせさせていただきました、ウッドデザイン賞受賞の件です。
今回で3回目の受賞となりますが、やはり何度いただいても嬉しいですね。
今回は特に、皆さんが家づくりの際に悩まれる無垢材の選定のお役に立てるよう、幾種類の材を使用し建てたモデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」でウッドデザイン賞を受賞できましたので、嬉しいのはもちろん安心もできました。
受賞したモデルハウスで使用している無垢材は、吉野檜や吉野杉、天竜杉といった有名な材の他、岡山県産の赤松や栗など全部で11種類。
玄関を開けた瞬間から、無垢材の香りを楽しんでいただけるつくりとなっているモデルハウスの中でも、「憧れる」と言っていただけることが非常に多いのが青森ヒバを使用したバスルームです。
今回のコラムでは、家造りのお話しではあまり登場することの無い木「青森ヒバ」についてお伝えいたします。

青森ヒバとは?

青森ヒバとは、ヒノキ科アスナロ属の常緑針葉高木、アスナロ(翌檜、学名:Thujopsis dolabrata)の寒冷地仕様の変異種であるヒノキアスナロの別名・慣習名です。
他にも、「ヒバ」や「エゾヒノキ」とも言われています。
ヒノキアスナロは日本にのみ自生する日本固有の種で、1901年(明治34年)に日本で最初の林学博士本多静六が、従来のアスナロと青森県のアスナロに違いがあることを発見し、2023年4月から放送されていた朝ドラのモデルであった植物学者牧野富太郎がアスナロ属の中の、アスナロの一変種「ヒノキアスナロ」と命名しました。

「ヒノキアスナロ」は、「檜に明日はなろう」という意味が名前の由来だとする通説が多く、落ちこぼれの木、ヒノキになれなかった木と勘違いされることがあります。
実際数年前に神戸で開催された樹齢150年の落ちこぼれの木を、世界一のツリーへと銘打ったイベントでは、ツリーがヒノキアスナロだと判明した時点で、一気に落ちこぼれではなくある種日本一の木だったのではないか、樹齢150年であるはずがないと話題になりました。
弊社のある阪神間で起きたことなので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

アスナロについては、清少納言の枕草子の中に「何の心ありてあすはひのきとつけけむ(どういう心情で「あすはヒノキ」などという名前を付けたのだろうか)」という表記があります。
このことからも、やはり「アスナロ」の由来は「アスハヒノキ」だったのだろうことが想像できますね。

平安時代からそんな呼び方をされていた木が、なぜ近年のニュースから、「樹齢150年のはずがない」「落ちこぼれではなく日本一の木ではないか」と話題になったのか。理由については、ぜひこのコラムを最後までお読みいただけると幸いです。

何故ヒノキアスナロではなくヒバと呼ばれるの?

ヒノキアスナロをヒノキアスナロと呼ばす「ヒバ」と呼ぶ理由は、はっきりとは分かっていませんし、いつ頃から「ヒバ」と呼ばれるようになったのかは定かではありません。
しかし、宝暦7年(1757年)松平秀幸の書「吉蘇志」の中に、木曽5木のアスナロの別名として「ヒバ」が記されています。
他にも、飛騨地方の運材図会(1854年)の中にも「木屠(ヒバ)」という文言が残っています。

青森ヒバ木曽5木

実際のところ、「ヒバ」以外にもアスナロをさす呼び名は長い歴史の中で40種類以上ありましたが、明治の末、林業関係者が「ヒバ」と統一して呼ぶようになり、「ヒバ」という名前が定着したと言われています。

何故「青森」ヒバと呼ばれるの?

通称ヒバのヒノキアスナロは、アスナロより分布域が北方です。
北限は渡島半島南部、南限は日光付近で、分布の中心は下北・津軽半島で、日本のヒバ総数の8割以上が分布しています。
なぜ、下北・津軽半島にヒバの8割以上が分布しているのかというと、江戸時代津軽藩が藩林として手厚く保護し、自然林として天然更新し続けてきた歴史があるからです。
そのため、下北・津軽のヒバは「青森」ヒバと呼ばれ、木曽檜、秋田杉と共に日本三大美林の1つに数えられるほどの存在になっているのです。
ちなみに、青森ヒバの分布地の99%以上が国有林であり、樹齢200年~300年程度、直径50センチ以上の物のみ伐採が許されており、今も大切に守られています。

青森ヒバってどんな特徴があるの?

青森ヒバは、発芽して成長を開始するまで非常に長い年月を要するのですが、その理由は、地面に落ちた種子から誕生した稚樹は、日光が届かない暗い森の中、何十年でも成長に必要な環境が整うのをじっと待つからです。
長い時間の末、空を覆っていた大木が倒れ、陽の光を浴びることができた稚樹は一気に成長し始め、北国の厳しい環境の下、風雪に耐えて成長を続けます。
これほどの環境を生き延びたヒバは、非常に強い生命力を持っており、名前の一部に使用されている檜や、他の優れた樹木と比較しても、さらに水に強く、カビや雑菌、ダニ・シロアリ・蚊やゴキブリを寄せ付けず、腐りにくいという優れた性質を持っています。

優れた性質と言われてもどう凄いのか分かりにくいかと思いますが、青森ヒバの驚異的な生命力は、青森県下北半島・猿ヶ森のヒバ埋没林で実物を目にすることができます。
猿ヶ森には、約15㎞に渡る猿ヶ森大砂丘が続いており、諸説ありますが、約2500年ほど前から断続的に海から砂が打ち上げられることで、立ち枯れたヒバが飛砂に埋まってしまい、ヒバ埋没林が出来上がったと言われています。
現在見ることができる猿ヶ森のヒバ埋没林は、800年~1000年前に埋没したヒバです。(下の写真参照)
1000年前の木が、朽ち果てず土にも還らずに現代も見られること自体脅威ですが、ヒバの驚くべき生命力はそれだけではありません。
なんと、腐朽していたのは表面のわずか2センチ前後で、それ以外はほぼ製材品として使えるものだったことが判っています。
1000年前に埋もれた木が、表面を削れば今も尚材として使用できるのはもちろん、ヒバの持つ香りもしっかりと残っているのです。
驚くべき生命力ですよね。


※猿ヶ森埋没林の埋没して立ち枯れたヒバ

この生命力は過去大いに活用され、特に有名なのが岩手県にある中尊寺金色堂です。中尊寺創建当初の姿を今に伝える中尊寺金色堂は、奥州藤原氏初代清衡公によって天治元年(1124)に上棟されました。
中尊寺創建当初唯一の遺構であり、土台や柱を始めとする構造材はほぼ全て青森ヒバ材で作られているのが特徴です。
その他にも、地元住民から「暴れ沢」として恐れられていた津軽半島の付け根に位置する飯詰川の治水工事に、青森ヒバを使用した木造のダムが建造されました。
一番古い個所で大正5年、一番新しいところでも昭和33年に施行された「坪毛沢木製えん堤群」です。
「坪毛沢木製えん堤群」は暴れ沢を抑えるために造られたダムですから、いくら強い青森ヒバと言えど、半世紀以上の時間をかけ、水が強く当たる部分の材は摩耗で細くなり、結束が緩むことで一部の部材が落ちたり損傷は進んでいます。
しかしそれでもなお、大正、昭和、平成、令和となった今も現役で十分役割を果たしてくれており、その姿をこの目で見ることができるというのですから驚きしかありません。

このように、青森ヒバには驚く程の耐朽力があるのですが、耐朽力の原点はヒバに含まれる40種類あまりの成分の中に、揮発性物質のヒノキチオールとシャメールBという成分が含まれているからです。
この2つの成分は、木材腐朽菌に対して強い殺菌力を持つだけでなく、腐朽菌の成長を止める力も持っています。
この2つの成分を持つ木は世界でも珍しく、日本ではなんと青森ヒバだけが持っているのです。

ヒノキチオールとは?

ヒノキチオールとは、以前フィトンチッドのコラムでもお伝えした通り、木の持つ香りが持つ力の1つで、ヒバの芳香成分です。
その名前から、ヒノキに多く含まれていると思われがちですが・・・残念なことに、圧倒的に青森ヒバの方が多く含まれており、その量はなんとヒノキの10倍以上です。
ヒノキチオールには、雑菌や虫を寄せ付けず、抗菌・防虫・防ダニ効果があることで有名ですが、青森ヒバのチカラはそれ以上だと言われており、青森ヒバで建てられた家には、蚊やシロアリ、ゴキブリといった害虫が近寄ってこないと言われているほどです。
実際、宮崎大学農学部応用昆虫学研究室実験では、材中にシロアリを挿入した場合製材後1年のもので120時間(5日)で100%が死滅し、製材後6年を経たものでも、240時間後(10日後)には100%の死虫率だったそうです。
衝撃的な数字と共に、死滅する理由が、「シロアリは食べた木材を消化器官内の原生動物で消化していますが、ヒバの殺菌作用で原生動物が死滅する事によりシロアリは食べた木材を消化できなくなり死に至ります」というのですから、驚きを通り越して少し恐ろしさ迄覚えてしまいます。

このように菌や虫にとっては恐ろしい効果を持つヒノキチオールですが、人間に対しては、ストレスを和らげ、気持ちをリラックスさせる効果があるほか、最近ではアトピー治療やインフルエンザウィルスの殺菌に利用されたり、農作物を長持ちさせたり、草花を活性化するためにも利用されています。
人工的に作った薬とは違い、いくら使用しても耐性ができないという素晴らしい特徴があることから、これからますます研究が進められていくそうです。

まとめ

「青森ヒバ」いいこと尽くしで、できるならこの木で家を建てたいと願われるかもしれませんが、それは非常に難しい現実があります。

これだけ良い木だと分かっているにもかかわらず、弊社でもモデルハウスのバスルームのみの利用となっている理由は、青森ヒバの強さに秘密があります。

先にもお伝えした通り、青森ヒバは芽がでて青年期に入るまで約100年かかります。
今、材として出回っている青森ヒバはどれも樹齢250年から300年は経過しており、弊社のモデルハウスでご覧いただける青森ヒバも同じくです。
他の種類の木が、約30年~50年で成木になることを考えると、成木になるまでどれほど長い時間が必要なのかお判りいただけるのではないでしょうか。

雪の多い寒さ厳しい土地でしか育つことができない青森ヒバは、寒さにじっと耐え、他の木の何倍もの時間をかけて育つことで、菌や虫への耐性をつけ、どの木よりも腐りにくい上、比較的堅く、圧縮力に対しても抵抗力のある緻密で狂いが少なく木目も美しい材になってくれるのです。

アスナロがどんな環境でもヒノキアスナロ(青森ヒバ)になるわけではなく、青森の厳しい環境と時間が青森ヒバを作り上げる絶対条件である以上、人間の都合に合わせて流通量を増やすことはできません。
そのため、青森ヒバは金額はもちろん流通量もしっかりコントロールされており、使用できる建造物には限りがあり、近年の使用された例としては、錦帯橋の架け替え工事に伴う木製橋脚部分(橋・杭組)がそれに当たります。

神戸のクリスマスツリーイベントが矛盾ばかりだと指摘されたのも、上記が理由です。
落ちこぼれの木でもなければ、ヒノキアスナロが樹齢150年程度で切られることは無いため、それ以上の樹齢であるということが容易に想像できてしまったからです。

青森ヒバは確かにその希少性ゆえ家一軒丸ごと全部青森ヒバで建てたい!というご要望を叶えることは無理ですが、モデルハウスのようにバスルームや寝室(モデルハウスでは取り入れておりません)で取り入れることは可能です。
実際、過去に青森ヒバを使用したバスルームを作らせていただいたこともございます。

木は適材適所です。
効果効能も大切ですが、お金だって非常に大切です。
費用対効果と、自分たち家族にあった木の取り入れ方を知るには、自分たちが好きな木の種類を知ることがとても大切です。

どの木にしようかなと悩まれた際には、ぜひウッドデザイン賞も受賞したモデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」で、たくさんの無垢材に触れてみてくださいね。

モデルハウス「無垢の木の家 重層の甍」の見学は、ご予約の上随時ご案内させていただいております。
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